約 19,135 件
https://w.atwiki.jp/th_sinkoutaisen/pages/58.html
no +信仰 コスト 戦闘力 HP df 労働 知識 探索 特殊能力 007u 0 000000 004000 200 20 3 5 4 守護 3ボス 門番の役職通り、全ユニット中最高のHPと敵の攻撃を集める守護能力で味方を守る 耐久力を強化するサポートが多く、例えば3ボス同盟を使えばHPは3倍に さらに紅魔の守りを使えばダメージ半減、という具合に手がつけられない固さになる 例え落とされたとしても、太歳星君の影を討て!で夢オチという事にして復活できる 加えて黄昏は神々の開拓地を出しておけば初期戦闘力が8000になるまさに最強の壁役 高威力である強攻撃の彩光蓮華掌が出れば単体ユニットを落とす事もままある 抜山蓋世+3ボス中華系により突如として修行キャラとして名を馳せることに。 耐久も高いので命短し恋せよ乙女を問題なく使えるのも○。 この戦闘力をどう活用するかが最重要課題か。 攻撃 弱 通常弾幕 単体 戦闘力×0.4 1回 中 華符「芳華絢爛」 全体 戦闘力×0.2 1回 強 華符「彩光蓮華掌」 単体 戦闘力×1.5 1回 関連霊撃 454m 抜山蓋世 20(専用) 修行基礎値+1000 関連サポートカード 145s 3ボス同盟 3ボス3人以上 HP3倍 149s メイフラは希望の虹 美鈴×フラン 美鈴とフランのHPアップ 153s ぱちゅみりん パチュリー×美鈴 パチュリーのHPアップ 173s 紅魔の守り 咲夜×美鈴 防衛時、ダメージ半減 544s 3ボス中華系 美鈴×芳香 修行効果3倍 548s 居眠りこまっチャイナ 美鈴×小町 みんなサボリーマン 230s 太歳星君の影を討て! 必殺:美鈴 戦闘不能時発動 252S さよなら人類 独立宣言:脱霊魔咲早妖 キャラ制限ボーナスLv1 250S 忘れ去られた百鬼夜行 独立宣言:脱人気キャラ キャラ制限ボーナスLv2 241s 紅魔郷は魂の原風景 独立宣言:紅魔郷オンリー 無駄無駄 248s 黄昏は神々の開拓地 独立宣言:非想天則オンリー 初期戦闘力二倍 249s 文花帖はブン屋の意地 独立宣言:文花帖オンリー 文とはたてに『根性』 307S ♪明治十七年の上海アリス テーマソング 美鈴ダメージ分成長 関連異変 超弩級ギニョルの謎を追え(解決率大幅上昇) 特別な入手方法 異変「彩虹の門番募集中」(N)をクリア
https://w.atwiki.jp/pcwars/pages/26.html
無印版 DX版 属性 近接 種族 妖怪 価格 9000P 移動力 4 射程 1 攻撃力 8 防御力 7 6 最大SP 80 50 備考 弾防+20%拠防+20% 生産可能ショーグン:レミリア、パチュリー、咲夜、美鈴、萃香、フランドール 紅魔郷3面ボス。 機動力を捨てて防御力に特化したユニット。トライアルなどの守勢時で活躍が期待できる。 防御力7はほとんどの弾幕攻撃を無効化でき、近接ユニットに対しても妖夢くらいまでなら相当ダメージ軽減が可能。 結界上で粘ればかなりの時間稼ぎができる。回復能力持ちがお伴していたり美鈴がショーグンだったりするとさらに堅固になる。 さすがに飛行ユニット相手には分が悪いが、そもそも飛行ユニットは全体的に高価なためある意味しょうがないとも言える。 逆に攻勢に回ったときは足の遅さからほかの近接ユニットよりも使い勝手は悪くなる。特に森越え山越えは苦手。 DX版では、門番という特性を生かした拠点防御特化の性能に。 防御力とSPは下がったが、対弾幕性能はほぼ据え置き。 美鈴がショーグン時や、拠点上だと弾幕による攻撃は90%カット、パチュリーショーグン時のパチュリーですら0.59しか与えれないという鉄壁に。 ちなみに、上司である咲夜にはやや弱く、攻撃力14と神奈子と同等のナイフが飛んでくる。
https://w.atwiki.jp/gensounokeihu/pages/94.html
加入条件:12章・萃香か勇儀で撃破 初期装備:雷鳴高速弾、治療薬、星の帽章 固定共鳴:萃香、小町、勇儀、白夜 固定三位一体:- 無効スキル:猛毒、脱力 初期能力 クラス Lv HP 力 魔力 技 速さ 幸運 守備 魔防 移動 武器レベル スキル 華人小娘 14 29 14 3 15 13 6 11 5 6 速C みがわり、連続 CCボーナス クラス Lv HP 力 魔力 技 速さ 幸運 守備 魔防 移動 武器レベル スキル 侵略如火 cc +5 +4 +1 +3 +2 +0 +4 +1 +0 +大E +見切り、+貫通 基礎成長率(%) ※この数値は暫定的なものです、今後変動する可能性は非常に高いです HP 力 魔力 技 速さ 幸運 守備 魔防 試行回数 平均 全ピン 無音 ver 48 41 5 51 38 7 32 28 100回 2.50ピン 0回 4回 1.05a 雑感 余談 成長吟味し、エースとして育成した場合 Lv40成長例(ver1.22b)転生無ドーピング無 Lv HP 力 魔力 技 速さ 幸運 守備 魔防 実績値 40 55 40 5 39 40 18 31 23 このページの白さに涙を禁じ得ない。 物理アタッカーとして必要な能力はほぼ伸びてくれるため優秀なアタッカーと言える。 幸運が低めなものの見切りのおかげで必殺を食らうこともない。 まぎれもない良ユニット…なのだが。 美鈴にとって最大の不幸は白夜が支援相手かつ共鳴ユニットであることだろう。 メイン武器被り、ステータス的にもスキル的にも白夜は上位互換と言わざるを得ない。 一応CC後に大型弾が使えるようになるがそれが役に立った場面は残念ながらなかった。 ただ先にも述べたが美鈴自身は強いユニットである。 美鈴が好きで彼女をエースにして使いたいという人にとっては何の不都合もないので存分に活躍させてあげよう。 支援会話 白夜 (支援レベルB、A、S時) 精度向上のためデータの追加・報告にご協力ください 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/churuyakofu/pages/310.html
霖カプ名調査 このページは、恐らく多岐に及ぶであろう霖カプの名称を 調査するために作られたページです。 既にある項目に投票するもよし、 新たに項目を作るもよし、 あなたの使っているカプ名の表記を教えて下さい。 自分の使ってるものがないという場合は、 その他の項に記入して投票すれば、項目を追加できます。 主人公 博麗 霊夢 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 霊霖 38 (100%) その他 投票総数 38 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 れいりん 17 (100%) その他 投票総数 17 霧雨 魔理沙 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 魔理霖 36 (90%) 2 こーまり 3 (8%) 3 霖魔理 1 (3%) その他 投票総数 40 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 まりりん 18 (86%) 2 まりん 2 (10%) 3 りんまり 1 (5%) その他 投票総数 21 東方輝針城 堀川 雷鼓 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 雷霖 8 (100%) その他 投票総数 8 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 らいりん 3 (100%) その他 投票総数 3 少名 針妙丸 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 針霖 11 (73%) 2 少霖 4 (27%) その他 投票総数 15 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 しんりん 9 (75%) 2 すくりん 2 (17%) 3 はりりん 1 (8%) その他 投票総数 12 鬼人 正邪 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 正霖 4 (100%) その他 投票総数 4 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 せいりん 1 (100%) その他 投票総数 1 九十九 八橋 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 八霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 やつりん 2 (67%) 2 はちりん 1 (33%) その他 投票総数 3 九十九 弁々 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 弁霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 べんりん 1 (100%) その他 投票総数 1 今泉 影狼 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 影霖 4 (100%) その他 投票総数 4 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 かげりん 3 (100%) その他 投票総数 3 赤蛮奇 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 赤霖 5 (63%) 2 蛮霖 3 (38%) その他 投票総数 8 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 せきりん 3 (50%) 2 ばんりん 2 (33%) 3 あかりん 1 (17%) その他 投票総数 6 わかさぎ姫 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 わか霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 わかりん 2 (100%) その他 投票総数 2 東方心綺楼 秦 こころ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ここ霖 7 (100%) その他 投票総数 7 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ここりん 4 (100%) その他 投票総数 4 東方神霊廟 二ッ岩 マミゾウ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 マミ霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 まみりん 3 (100%) その他 投票総数 3 豊聡耳 神子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 神子霖 5 (100%) その他 投票総数 5 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 みこりん 4 (100%) その他 投票総数 4 物部 布都 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 布都霖 5 (100%) その他 投票総数 5 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ふとりん 4 (100%) その他 投票総数 4 蘇我 屠自古 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 屠自霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 とじりん 1 (100%) その他 投票総数 1 霍 青娥 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 青霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 せいりん 2 (100%) その他 投票総数 2 宮古 芳香 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 芳霖 4 (67%) 2 芳香霖 2 (33%) その他 投票総数 6 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 よしりん 3 (60%) 2 よしかりん 2 (40%) その他 投票総数 5 幽谷 響子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 響霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 きょうりん 1 (100%) その他 投票総数 1 妖精大戦争 サニーミルク カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 サニ霖 3 (60%) 2 サニー霖 2 (40%) その他 投票総数 5 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 さにりん 3 (75%) 2 さにーりん 1 (25%) その他 投票総数 4 ルナチャイルド カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ルナチャ霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 るなちゃりん 1 (100%) その他 投票総数 1 スターサファイア カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 スター霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 すたーりん 2 (100%) その他 投票総数 2 ダブルスポイラー 姫海棠 はたて カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 はた霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 はたりん 3 (100%) その他 投票総数 3 東方星蓮船 封獣 ぬえ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ぬえ霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ぬえりん 2 (100%) その他 投票総数 2 聖 白蓮 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 聖霖 7 (58%) 2 白霖 5 (42%) その他 投票総数 12 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ひじりん 4 (57%) 2 びゃくりん 3 (43%) その他 投票総数 7 寅丸 星 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 星霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 しょうりん 2 (100%) その他 投票総数 2 村紗 水蜜 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 村霖 2 (67%) 2 水霖 1 (33%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 みなりん 1 (50%) 2 むらりん 1 (50%) その他 投票総数 2 雲居 一輪 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 一霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 いちりん 1 (100%) その他 投票総数 1 多々良 小傘 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 多々霖 4 (80%) 2 小傘霖 1 (20%) その他 投票総数 5 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 たたりん 2 (67%) 2 こがさりん 1 (33%) その他 投票総数 3 ナズーリン カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ナズー霖 6 (86%) 2 ナズ霖 1 (14%) その他 投票総数 7 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 なずーりん 4 (67%) 2 なずりん 2 (33%) その他 投票総数 6 東方地霊殿 古明地 こいし カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 こい霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 こいりん 1 (100%) その他 投票総数 1 霊烏路 空 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 空霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 うつりん 3 (60%) 2 くうりん 1 (20%) 3 そらりん 1 (20%) その他 投票総数 5 火焔猫 燐 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 燐霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 りんりん 1 (100%) その他 投票総数 1 古明地 さとり カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 さと霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 さとりん 1 (100%) その他 投票総数 1 星熊 勇儀 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 勇霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ゆうりん 1 (100%) その他 投票総数 1 水橋 パルスィ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 パル霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ぱるりん 1 (100%) その他 投票総数 1 黒谷 ヤマメ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ヤマ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 やまりん 1 (100%) その他 投票総数 1 キスメ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 キス霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 きすりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東方緋想天 比那名居 天子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 天霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 てんりん 1 (100%) その他 投票総数 1 永江 衣玖 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 衣玖霖 4 (100%) その他 投票総数 4 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 いくりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東方風神録 洩矢 諏訪子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 諏訪霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 すわりん 2 (100%) その他 投票総数 2 八坂 神奈子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 神奈霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 かなりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東風谷 早苗 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 早霖 6 (100%) その他 投票総数 6 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 さなりん 1 (100%) その他 投票総数 1 犬走 椛 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 椛霖 3 (60%) 2 もみ霖 2 (40%) その他 投票総数 5 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 もみりん 2 (100%) その他 投票総数 2 河城 にとり カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 にと霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 にとりん 2 (100%) その他 投票総数 2 鍵山 雛 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 雛霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ひなりん 1 (100%) その他 投票総数 1 秋 穣子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 穣霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 みのりん 1 (100%) その他 投票総数 1 秋 静葉 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 静霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 しずりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東方花映塚 四季映姫・ヤマザナドゥ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 映霖 4 (100%) その他 投票総数 4 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 えいりん 1 (100%) その他 投票総数 1 小野塚 小町 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 小町霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 こまちりん 1 (50%) 2 こまりん 1 (50%) その他 投票総数 2 風見 幽香 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 幽香霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ゆうかりん 2 (100%) その他 投票総数 2 射命丸 文 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 文霖 4 (100%) その他 投票総数 4 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 あやりん 2 (100%) 2 ぶんりん 0 (0%) その他 投票総数 2 メディスン・メランコリー カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 メディ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 めでぃりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東方萃夢想 伊吹 萃香 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 萃霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 すいりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東方永夜抄 藤原 妹紅 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 もこ霖 3 (75%) 2 妹紅霖 1 (25%) その他 投票総数 4 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 もこりん 1 (100%) その他 投票総数 1 上白沢 慧音 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 慧霖 10 (100%) その他 投票総数 10 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 けいりん 2 (100%) その他 投票総数 2 蓬莱山 輝夜 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 輝霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 かぐりん 1 (100%) 2 てるりん 0 (0%) その他 投票総数 1 八意 永琳 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 永霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 えいりん 1 (100%) その他 投票総数 1 鈴仙・U・イナバ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 鈴霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 れいりん 1 (100%) その他 投票総数 1 因幡 てゐ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 てゐ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 てゐりん 1 (100%) その他 投票総数 1 ミスティア・ローレライ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ミス霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 みすりん 1 (100%) その他 投票総数 1 リグル・ナイトバグ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 リグ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 りぐりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東方妖々夢 八雲 紫 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 紫霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ゆかりん 1 (100%) その他 投票総数 1 八雲 藍 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 藍霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 らんりん 1 (100%) その他 投票総数 1 西行寺 幽々子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 幽々霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ゆゆりん 1 (100%) その他 投票総数 1 魂魄 妖夢 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 妖霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ようりん 1 (100%) その他 投票総数 1 ルナサ・プリズムリバー カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ルナサ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 るなさりん 1 (100%) その他 投票総数 1 メルラン・プリズムリバー カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 メル霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 めるりん 1 (100%) その他 投票総数 1 リリカ・プリズムリバー カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 リリカ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 りりかりん 1 (100%) その他 投票総数 1 リリーホワイト カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 リリ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 りりりん 1 (100%) その他 投票総数 1 アリス・マーガトロイド カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 アリ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ありりん 1 (100%) その他 投票総数 1 橙 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 橙霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ちぇんりん 1 (100%) その他 投票総数 1 レティ・ホワイトロック カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 レティ霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 れてぃりん 1 (100%) その他 投票総数 1 東方紅魔郷 フランドール・スカーレット カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 フラ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ふらりん 1 (100%) その他 投票総数 1 レミリア・スカーレット カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 レミ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 れみりん 1 (100%) その他 投票総数 1 十六夜 咲夜 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 咲霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 さくりん 1 (100%) その他 投票総数 1 パチュリー・ノーレッジ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 パチュ霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ぱちゅりん 1 (100%) その他 投票総数 1 小悪魔 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 こぁ霖 1 (100%) 2 こあ霖 0 (0%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 こぁりん 1 (100%) 2 こありん 0 (0%) その他 投票総数 1 紅 美鈴 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 美霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 めーりん 2 (100%) 2 みりん 0 (0%) その他 投票総数 2 チルノ カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 チル霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ちるりん 1 (100%) その他 投票総数 1 ルーミア カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ルー霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 るーりん 1 (100%) その他 投票総数 1 大妖精 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 大霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 だいりん 1 (100%) その他 投票総数 1 書籍 + CD 稗田阿求 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 阿霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ありん 3 (75%) 2 あきゅりん 1 (25%) その他 投票総数 4 本居小鈴 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 小鈴霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 こすずりん 1 (100%) その他 投票総数 1 宇佐見 蓮子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 蓮霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 れんりん 1 (100%) その他 投票総数 1 マエリベリー・ハーン カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 メリ霖 2 (100%) その他 投票総数 2 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 めりりん 1 (100%) その他 投票総数 1 朱鷺子 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 朱鷺霖 5 (100%) その他 投票総数 5 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 ときりん 2 (100%) その他 投票総数 2 綿月依姫 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 依霖 5 (100%) その他 投票総数 5 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 よりりん 3 (100%) その他 投票総数 3 綿月豊姫 カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 豊霖 3 (100%) その他 投票総数 3 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 とよりん 2 (100%) その他 投票総数 2 レイセン カプ名 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 レイ霖 1 (100%) その他 投票総数 1 読み方 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 れいりん 1 (100%) その他 投票総数 1
https://w.atwiki.jp/magoriatcg/pages/587.html
美鈴(みすず) 美鈴 キャラクターカード 属性:知 使用代償:[白白] MHP:500 [武]:300 [敏]:200 [知]:300 [器]:400 [穏]:200 作品名:your diary 特殊能力1:風鈴堂古書店 使用代償:誘発 このキャラが登場したとき、このキャラを除く味方「your diary」キャラが1体以上登場している場合、あなたのデッキを見て「ゆあ」1体を選び横に置くことができる。あなたのデッキをシャッフルする。横に置いたカードをあなたのデッキの上に置く。 特殊能力2:神様の記憶が眠る場所 使用代償:[赤] 自ターン中に使用する。「your diary」キャラ以外の味方キャラが登場している間に使用できない。 あなたのゲームから取り除かれたイベントが10枚以上の場合、「your diary」キャラ1体に攻+100する。そのキャラを未行動状態にすることができる。(1ターンに1回まで宣言可能) 「せっかく来たんだから、うちの子たちを見ていってあげて? ねっ?」 Version/カード番号 Ver5.0/0377 レアリティ R コメント コメントの入力。必須ではない。 エースにする時は エース使用時の使い方を入力。必須ではない。
https://w.atwiki.jp/touhourowa/pages/45.html
華人小娘 紅 美鈴(ほん めいりん) 【種族】 妖怪 【能力】 気を使う程度の能力 『紅魔郷』3面ボス。紅魔館の門番を務める華人風の妖怪。 主に湖からやってくる妖精を迎撃している。 門番以外にも色々と仕事を任されているらしく、紅魔館の庭にある花畑の管理人でもあるという。 更に妖怪でありながら人を襲わず、逆に人間と親しく話すことから穏和な性格であることがうかがえるが、その一方で侵入者に対しては容赦がない。 武術の達人であり、試合を申し込みにくる武道家も多いらしい。 弱点らしい弱点がなく普通の人間相手には強いが、妖怪としてはそれほど強くない。 朝は太極拳、昼には昼寝をしている姿が目撃されている。 以下、本ロワにおけるネタバレを含む +開示する 紅 美鈴の本ロワにおける動向 初登場話 15 紅の門番と紅い神様と 死亡話 110:赤い相剋、白い慟哭。 登場話数 8話 スタンス 対主催(殺し合い反対派・人探し) ランダム支給品 ボール型煙幕 現在状況 一日目真昼に死亡 他の参加者との関係(最新話時点) キャラ名 関係 解説 初遭遇話 秋 静葉 共闘 開始直後に遭遇し、穣子捜索を手伝うことに 15 紅い門番と紅い神様と 西行寺 幽々子 共闘 魔法の森で遭遇し、一時同行するがすぐに離れ離れに 46 西行寺幽々子の神隠し ルーミア 敵対 襲撃を受け手傷を負うが、切り抜ける 80 So Why? 鈴仙・優曇華院・イナバ 不信感 魔法の森で遭遇し、情報交換を行う 静葉を切り捨てるような言動・行動に不信感を抱く 90 亡き少女の為のセプテット 蓬莱山 輝夜 敵対 人里で交戦 善戦するも及ばず、殺害される 110 赤い相剋、白い慟哭。 伊吹 萃香 力を託す 今わの際に気功を送り込む 110 赤い相剋、白い慟哭。 パチュリー・ノーレッジ 旧知の間柄 同じ紅魔館の住人 ロワ内で遭遇せず ―― 十六夜 咲夜 旧知の間柄 同じ紅魔館の住人 ロワ内で遭遇せず ―― レミリア・スカーレット 旧知の間柄 同じ紅魔館の住人 ロワ内で遭遇せず ―― フランドール・スカーレット 旧知の間柄 同じ紅魔館の住人 ロワ内で遭遇せず ―― 本ロワ上の行動 最初に出会った静葉と最後まで行動を共にする。 自身の目的も特に無かったことから、静葉の妹である穣子の捜索を手伝うことになった。 その願いは果たせなかったが、彼女得意の体術で最期まで静葉を守り抜いた。 一度幽々子とも合流したが、すぐに離れ離れになってしまった。 もしこの時フランと同じ出自の美鈴がはぐれていなければ、香霖堂でのあの惨劇は避けられたのかもしれない。 そんなifを想像してみるのも面白いかも。 踏破地域(白が踏破地域) 1■■■■■□■ 2■■■■■■□ 3■■■■■□■ 4■■■□□□■ 5■■■■■■■ 6■■■■■■■ 7■■■■■■■ \A B C D E F G F-1→G-2→F-3→F-4→E-4→D-4 ※カッコ表記はそこを踏破したと推測される地域
https://w.atwiki.jp/touhou_srpg/pages/58.html
紅美鈴ほんめいりん 名前 美鈴 タイプ 突撃系 攻撃力 B 防御力 A 霊力 C 移動力 7 指揮修正 C スペルカード A 攻撃方法 名前 霊力 攻撃力 距離 相殺 コメント 虹色誘導弾 0 +0 近遠 × 芳華絢爛 4 +0 近遠 ○ 弾幕技 極彩颱風 8 +0 近遠 ○ 弾幕技 ザコ 妖精メイド赤 歩兵系 妖精メイド白 突撃系 毛玉 突撃系 魔法 シールド1 アタック1 フォースヒール1 ヒール2 フォースヒール2 コメント ステータスは低めだが優秀な回復魔法を覚える。 芳華絢爛は消費も少なく安定して強い。 なにげに移動力が7と他と比べると1高いのが特徴。 ノーマルモードで小町を仲間にしていない場合は17-Aで加わる。 Dルートではパチュリーとの選択になる。
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/200.html
■美鈴2 「美鈴。俺はお前を愛している」 シンプルで良いじゃないか 5スレ目 9 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「皆がお前の名前を忘れても、俺だけはちゃんと覚えているから。だから――俺と結婚してくれ!ちゅうごく!!」 蹴り殺されました →三途の河へ 幻想郷の外から来た俺は、紅魔館の門番である中国と言う妖怪に行き倒れていた所を助けてもらった。 それ以来紅魔館にお世話になり、中国とは友人以上恋人未満辺りにはなったと思う。 だがついさっき、紅魔館門前で中国にプローポーズしたら、何故か中国に蹴り殺された。 ――――回想―――― 「皆がお前の名前を忘れても、俺だけは忘れないから。 ―――だから、俺と結婚してくれ !ちゅうごく !!」 プロポーズの直後、中国はまず赤くなり、何かに気付いて裏切られたような表情になった後にマジ泣き。 「〇〇さんの馬鹿ァッ!」 そして、上段回し蹴りで俺の側頭部にヒット。 ぐしゃり、と何かが潰れる音が辺りに響いた。 ――――回想終了―――― 因みに俺の最期の言葉は「白(グシャり」 痛みを感じる事もなく、次の瞬間には三途の河の前にいた。 「何が悪かったんだろう?」 やっぱりプロポーズの内容がいけなかったのだろうか。 だとしたら、何処の辺りなのだろう…。 やはり、フランやチルノ達に相談して考えたのが悪かったのだろうか ? 「…直球で『好きだ。結婚してくれ、ちゅうごく』の方が良かったのかもしれない」 いや、もしかしたら元々俺の事が嫌いで…… これ以上考えているとドツボに嵌まりそうなので頭を切り替える事にする。 ――そういえば 「どうして誰もいないんだ」 だいぶ前に紅白に聞いたが、死んだらまず小町って不良死神に絡まれるから有り金全部渡して河を渡る……だったかな ? でも実際問題、金なんて持ってないし小町って死神もいない。 と、なればもう最終手段(これ)しかないよな ? 「……泳ぐか」 ここが三途の河なら、渡り切れれば問題ないはずだ。 幸い河の流れも緩いし、なんとか泳ぎ切れない距離でもない。 軽く準備体操をし、深呼吸してから景気良く三途の河へとダイブする。 そしてクロールに移ろうとし、重大な事実と現実を思い出した。 ――俺、泳げないんだった 必死にもがくが、段々と沈んでいく俺の身体。 落ち着け。 こういう切羽詰まった時こそ冷静に、クールになるんだ。 さぁ、落ち着く為にまず深呼ky…「ゴボブばっ!?」 …しまった。 つい水中で深呼吸をしてしまった俺。 んー、これが無酸素状態かー。 冷たいなー、寂しいなー、つーか、水面がとーのいて行くー。 ……などと現実逃避している場合ではない! しーきゅーしーきゅー。 誰か、たーすーけーてー。 …届け、俺のこの毒電波(思い)!の方が良かった……か………? ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ―― 博麗神社 縁側に座り、ズズーっと熱いお茶をすする。 「…暇ね」 もそもそと煎餅を探す。 ……あった 煎餅を一口食べ、またお茶をすすってからまた一言 「…暇ね」 いつもなら魔理沙とかが神社に来る時間なのに、今日は誰も来ない。 煎餅をもう一口噛った。 「…… ?」 何処かで誰かに助けを求められた気がする。 直感だが 「まぁ、いいか」 あまり気にせず熱いお茶をすすった。 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ →図書館 「……ハッ !」 どうやら俺は復活した様だ。 危ない危ない。三途の河を渡っていたらどうなっていた事か ――死んでまで死の恐怖を味わうとは思わなかったな 「あれ ?でも、なんで俺生きてるんだ」 先程の上段回し蹴りで、俺の頭は萃香割り……じゃなかった。 スイカ割りのスイカよろしく脳や色々なモノをぶちまけてある意味、十八禁状態だったはずなのに完全に再生してる。 まぁ、とりあえず――生きてるってスんばらしィイイ ! 「生まれて二十年目にして、初めての味わった混乱(生の喜び)に我を忘れてしまいそうだ、ぜ。」 「気がついたのね」 何処かからか声が聞こえたので辺りを見回す。 辺りには本、本、本、本本本本本本本 本本本本本本本本本本本本本本本本本 本本本本本紫もやし本本こぁ本本本本 本本本本本本本本本本本本本本本本本 ――って、あまりの混乱(生の喜び)に、こぁとヴワル図書館の紫もやし、 【ダチェルィ・ナウルゥェッジ】(【】内は巻き舌で)の存在に気付かなかった。 「こぁにダチェリィ「パチュリーよ」……パチュリーが蘇生させてくれたのか ? 」 ダチェリー、もといパチュリーはコクと頷いた。 「ありがとう紫もやし。この恩は三日程は忘れない !」 殴られた。 とりあえず何度も言ってる気がするが 「生きてるってスんばらスィイイ!!」 と叫びながら、こぁを抱き上げてグルグル回る。 「こぁあぁぁあぁああ~~~…… !」 こぁが叫び声を上げているが今の俺は例えレミリアや某真祖の姫君、お子様超魔王や二十七祖全員が同時に掛かって来ても止められない。 ごめんなさい。 嘘です。 まだ死にたくありません 回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回る回―― 「使い魔としてだけどね」 時が止まった。 腕から力が抜ける。 「こぁっ ?!」 手からすっぽ抜けたこぁは、整理中の本の山に弾丸のように飛んでいき、派手な音を起てながら本の山にのまれていった。 「きゅ~~……」 本の山からかわいらしい呻き声が聞こえてくるが残念ながら俺にはそれを堪能する心の余裕がない。 「なに ?」 「だから、あなたは使い魔になったの。私の」 …………… 「 な ん だ っ て ー ?!」 「まぁ、正確にはこの本 ――【転生の書】があなたの主人になるわね」 パチュリーはそう言いながら、黒いボロボロの分厚い本を差し出した。 俺はそれを受け取り、頁をめくってみる。 本に書かれてある文字はどう見ても日本語でも英語でもないのに、何故か読める。 ――内容―― (※簡略化してあります) 【転生の書・黒】 この本の説明 1、死者の死骸と魂を使用し、この書の所有者の使い魔にする 2、使い魔にした者の命はこの書そのもの。一度絶命するたびに頁が一枚づつ消滅し、全て頁がなくなると使い魔の魂ごと消滅する。 また、この書が存在する限り不老である。 3、使い魔の種族はこの書に書き込んだ種族となる。 (この項目の横の名前欄に俺の名前が書いてあり、その下の種族欄には【本の精】と書いてある) 4、ぱちぇ萌え 5、超重大項目 ■■■に■■■■成■■■■■■■、■■■■■少■■■る■■■■■、人■妖 怪■どの■■■■■う。 ■人■■と■■■■る。 (■の部分は汚れて読めない) 6、つまりはパチェ萌え ――――ここまで―――― 一部訳の解らない項目が在ったが……成る程、良い事づくめじゃないか。 中国と一緒に歩くのに、充分な寿命を手に入れた。 「はい。誕生日プレゼント――つまり、それの所有者は〇〇よ」 マジで ? 「マジで」 そういえば、今日は俺の誕生日だったな。 素で忘れてた。 「でもいいのか ?」 いくら俺でもこんな高価そうなものを貰うのは気が引ける。 「いいのよ。人の好意は黙って受け取りなさい」 「……ありがとう。バチェリー」 蹴られました 「よしっ !中国にリターンマッチだ」 図書館を出ようとしたところでパチュリーに服の裾を掴まれる。 「〇〇、もしかしてあなた門番の名前が中国だと思ってる ?」 「……違うのか ?」 パチュリーは盛大に溜息を吐く。 いい ?あの娘の名前はね―――― ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ――紅魔館門前 「おーい !」 赤い髪の少女が振り返る。俺は少女の目の辺りが赤くなっているのに気付いた。 たぶん、ついさっきまで泣いていたのだろう。名前を間違えて覚えられていたの がそんなにショックだったのだろうか 「〇〇さん……よかった。パチュリー様にお願いしたかいがありました」 彼女は少し涙目で、微笑んだ。 ……… 「……ハッ !」 いかんいかん。ついつい彼女に見入ってしまった。 「さっきは名前間違えて覚えていて……ごめん」 深呼吸する。今回は水中じゃない。落ち着け、今回は紫もやしにちゃんと彼女の 名前を教えてもらったじゃないか。 ……よし 「好きだ。俺と結婚してくれ、ほんみりん」 ―― 二回ほど殴り殺されました 残り頁数 ―― 三百五十頁 NG 「〇〇さん……よかった。パチュリー様にお願いしたかいがありました」 彼女は少し涙目で、微笑んだ。 俺の中で何かがうごめいた。 「ひゃっ…?!」 無言で彼女を抱き上げる。 「〇〇……さん?」 彼女は予想外の出来事にまるで小動物のようにキョトンとしている。 ―― 何かが、外れた 「はあう~ ☆お持ち帰りぃい~ !!」 次の瞬間、〇〇は美鈴を押し倒s 省略されました。全てを見るには太平洋の海底で三十回ほど深呼吸してください 5スレ目 13.74.75.76 ─────────────────────────────────────────────────────────── 図書館前の廊下で黒白マホ使いとすれ違ったのが数分前。 俺は今、カレーパンを持って門前にいる。 「…あ~。やっぱり」 ハリネズミならぬナイフネズミになっている美鈴が倒れていた。 「〇〇、さん…?」 美鈴はズタボロの身体を起こそうとするが、力が入らないのかまた倒れた。 「あー…。動くな動くな。抜いてやるから」 そういいながら、美鈴に刺さったナイフを一本一本引き抜いてやる。 最初見た時は寒気というか、何と言うか。 ―― とにかくそんな感じの物を感じたのだが。 最近は慣れたのか躊躇なしに引き抜けるようになった。 幻想郷に来た以上、仕方のない事なのかもしれない。まぁ、俺はまだツイてる方 だろう。 本来なら、常に殺す覚悟と殺され(食料にな)る覚悟をしなくてはならない場所な んだから。 それができるかどうかは別としてだが。 「全部抜けたぞ」 それにしても流石メイド長。 素人目にも全てが急所を外している事がわかる。 「ありが、とう。ござ、います…」 まぁ、刺さっていたナイフの本数は十を軽く越えていたんだが。 「大丈夫、なわけないか」 「はいぃ~…」 聞いているこちらが情けなくなるほど弱々しい声を出す美鈴。 何となく抱きしめたくなる衝動に襲われたが、冷静に考えて美鈴にトドメを刺し てしまいそうなので無理矢理押さえ込む。 「まぁ、いいか。 ―― 美鈴、少し頭を上げてみてくれ」 俺がそう言うと、美鈴は弱々しく頭を上げてくれた。 その瞬間、俺の膝を美鈴の頭と地面に捩込む。 「ひざ、枕…… ?」 「何となくやりたくなったんだ。止めてほしいんだったら止めるけど……」 「いえ、なんだか、安心しま……す」 そう言い終えるなり、スースーと寝息をたてはじめる美鈴。 「……ふあ」 何か眠たくなって来たな。 まぁ、門番はそこでデバガメしている美鈴の部下(?)達に任せて、俺も寝ようか な 意識が落ちる少し前 ―― やさしい風が、頬を撫でた ―― キリトリ ―― 大体の場合、〇〇がひざ枕をされる側なので、たまにはこちらがする側になって も良いと思ふ。 あまりIchaついてない希ガス ↓本音↓ 中国をひざ枕してあげたかった!それだけだ!! ―― キリトリ ―― 6スレ目 258 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「君は誰からも名前で呼ばれていないけど、俺はそんな事は無い。 世界中が君を名前で呼ばなくても俺は君の名を呼ぶよ。美鈴」 6スレ目 295 ─────────────────────────────────────────────────────────── 寒空の下、一日中門にへばりつき空を見上げ続ける。 それが門番隊の仕事かというと語弊があるだろう。 門番隊だって数が居るのだから休憩時間くらいあるわけで、 俺と隊長、紅美鈴は詰め所で二人、ぐってりと暖を取っていた。 「今日は一段と寒かったですねー」 「そうですね、でももう少ししたら夜中勤務だからもっと寒いですよ」 ストーブを前に緩みきった表情で美鈴が溢す。 俺はというと歯をガチガチと鳴らしながらストーブに抱きつかんとして答えている。 美鈴は微笑みながら、そんな俺を眺めていた。 「隊長は気が使えるからそんなに寒くないでしょう?」 「あは、それでも寒いものは寒いですよ?」 恨みがましい視線で、穏やかな瞳に抵抗するが、この人には無駄だ。 とびきりの笑顔で、どんな悪意も受け流してしまう人なのだから。 「人肌恋しい」 「あったかいですよねー」 「隊長、膝枕してください」 「いいですよ?」 今、美鈴は何と言ったのだろうか。 何となく口にした冗談だったが、美鈴は変わらぬ笑顔で膝を叩いている。 「え、マジっすか?」 「あは、マジマジ」 俺は暫く固まった後、ようやく事態を飲み込んだ意識を動かして美鈴の隣に腰掛ける。 「……お邪魔します」 「はいー」 ゆっくりと倒れこんで、柔らかい太ももに顔を乗せた。 何というか、思った以上に恥ずかしいことをしているように感じて、熱が上がる。 本当に、言ってみるものだ。 「こんなの皆に見つかったら恨まれそうですね」 「門番隊の皆?」 「えぇ、隊長って女性にも人気あるんですよ」 「あは、それじゃあ……男の子にはどうなのかな」 見上げる顔は困ったようで、一拍置いて朱が混じる。 門番隊に男は俺しか居ない。獲物として血を抜かれそうなとき、美鈴が雇ってくれたのだ。 理由が、粋がいいからと言うのには少し参ったけど。 おかげで今は、里には無い充実した日々を送っている。 「……そこそこ、あるんじゃないっすかね」 「そこそこかー」 美鈴の笑顔が近い。 照れているのが勿体無いような気がして、呆然と見つめ続ける。 なんかもう、最高の眺めだった。主に胸部。 「ねぇ、私も一つお願いしていいですか?」 「はい?」 「ちょっと、名前で呼んでくれませんか? 今だけ」 「……なんでですか」 「名前で呼ばれることが無いんですよ、隊長とか門番で通っちゃいますから」 少しだけ期待した自分が居たのに気づいて、はぁ、と気の抜けた返事を返す。 本当に、狙っているかのようなことを自然と言う人である。 「紅さん」 「名前ですって」 「……美鈴さん」 「さんは余計かな」 「美鈴」 「……はい」 澄んだ笑顔、優しい笑顔、暖かい笑顔。美鈴の笑顔がすぐ近くにある。 膝に乗せた顔が妙に熱い。 「――好きだ」 言ってみる、言ってやる、言ってやった。 初めて手を差し伸べられたときから、ずっと想ってたことを言いのけた。 美鈴の微笑は変わらない。やっぱりなと思いながら、名残惜しく思って膝の温もりを感じておく。 微笑が降りてきた、只でさえ近かったのに、これ以上ないほどに距離が無くなる。 「私も好きですよ」 唇には柔らかな感触の残留が残る。 本当に、言ってみるものだ。 6スレ目 342 ─────────────────────────────────────────────────────────── 俺が紅魔館に住み込んで数ヶ月が経った。 最初、幻想郷に迷い込んだときはもう終わりかと思ったが人間何とかなるものだ。 紅魔館で俺は門の警備を任された。 だが勿論、俺は普通の人間だから魔法なんて使えないし白黒の魔法使いを追い払うことなんて夢のまた夢だ。 だから、俺は紅魔館のお嬢様であるレミリア様やメイド長の咲夜さんから心底呆れられていた。 だけど、そんな俺でも門番でもある美鈴さんだけは違った。 白黒魔法使いに速攻でやられても優しく怪我の治療をしてくれたし何時も俺に笑顔で居てくれた。 そんな彼女に俺はいつしか恋心を抱いていた。 しかし、俺は人間で彼女は妖怪(何の妖怪かは教えてくれない)という大きな差があった。 それが原因で俺は彼女に思いを伝えられないでいた。 そして、そんな意気地が無い俺をよそに幻想郷の時は進みもう新年まで少しとなっていた。 「相変わらず寒いですよね○○さん」 「そうですね。もう手足の感覚も無くなってきていますよ」 今日は本当に寒い。そんな寒い空の下で一日中立っていたら凍死するかもしれない。 事実、手の感覚はほとんど無い。あぁ、温かいスープが飲みたい。 「本当に寒そうですね……そうだ○○さん。手出してください」 美鈴さんに言われ俺が手を差し出すと美鈴さんは俺の手を握った。 「めっ、美鈴さん!?イキナリ何を」 「いや、凄く寒そうだったから手を握って少しでも暖まってもらおうかなって思ったんですよ。迷惑ですか?」 「嫌……暖かいです」 「それは良かった」 そして実質、俺と美鈴さんは手を握ったまま立っていた。 ふと気づいたが手を握ってもらうと自然と向かい合う形になる。 だから、俺の目には美鈴さんの目がある。 いつもと変わらない優しい目だ。 気づいたら俺は自然と美鈴さんに伝えたかったことを言っていた。 「美鈴さん。俺は貴方が好きです」 「え? 何か言いましたか?」 「俺は……俺は美鈴さんのことがずっと好きでした。愛しています」 言った。言ってしまった。美鈴さんは驚きの表情を浮かべている。当たり前だろう。 数ヶ月、ただ一緒に居る俺がイキナリの愛の告白だ。固まるのも当然だ。 「わ、私も……私も○○さんの事が好きです」 だから、俺も美鈴さんの言葉に反応できなかった。 「え? い、今何て」 「私も○○さんの事が好きでした。○○さんと同じでしたね」 あぁ、もしかしたらこの寒さのおかげで俺の告白は成功したのかもしれない。 俺はこの幻想郷で今のところ一番寒いこの日に感謝しながら何時までも暖かい美鈴さんの手を握っていた。 6スレ目 402 ───────────────続─────────────────────────────────────────── 夕方 紅魔館 正門 ○○視点 寒かった冬が過ぎ去って春を告げる妖精が嬉しそうに飛び回っているが、幻想郷はまだ寒い日が続いている。 無論、この紅魔館も寒さの例外ではなく特に門の番として日々鍛錬と見張りをしている門番達は堪ったものではない。 だが去年、美鈴さんに告白し見事OKを貰った俺にとってはこんな寒さなど関係ない。 俺の心の中は美鈴さんの事で一杯なのである。 しかし、恋人として付き合い始めて短いながらも時間が経ったが未だに言えない事がある。 ……今の俺の本当の気持ちだ。今の俺は真剣に美鈴さんに結婚を申し込みたい…… 確かに去年、しかも冬に告白したばかりで早過ぎると誰もが言うだろう。 しかし、俺はこの幻想郷で短期間だが長い年月を過ぎたような経験をした。 紅魔館で美鈴さんの恋人となった後、毎日美鈴さんと一緒に文字通り血の滲む様な修行に励んだ。 美鈴さんと一緒に職務中に談笑して咲夜さんのナイフに襲われた。 美鈴さんの苦労を少しでも楽に出来るように嫌いな勉学をして魔法を学んだ。 美鈴さんが喜んでくれると願って香霖堂で買ったイヤリングをプレゼントした。 美鈴さんと一緒に年を越した。一緒に神社に初詣にも行った。 美鈴さんから手作りのチョコレートを貰った。 チョコレートのお返しに自分で作ったクナイをプレゼントした。 美鈴さんと一緒に笑った。 美鈴さんと一緒に敵を迎え撃った。 美鈴さんが迎え撃ってボロボロになった俺を看護してくれた。 そんな美鈴さんと恋人としてではなく夫婦として一緒に時を過ごしたい 「○○さん。どうしたんですか?悩みなら聞きますよ」 同じ門番をしているメイド達に話しかけられた。 「いや、ちょっとな……なぁ、お前等ってどう結婚の申し込みされたらOKする?」 「え、○○さん! とうとう美鈴さんに結婚の申し込みですね!」 「ちょ、声でかい! 美鈴さんに聞かれたらどうするんだよ!?」 「大丈夫ですよ。美鈴さん今、お嬢様に呼ばれて館内にいますから」 「そうか……て、お前等今とうとうって言わなかったか?」 「言いましたよ。まさか○○さん、もしかして隠してるつもりでした?」 「……どういう意味だよ」 「そのまんまの意味です。多分、気付いてなかったのは○○さんと美鈴さんぐらいですよ」 「そ、そこまで露骨だったのか……何か、急に不安になってきた」 「でっ、でも○○さんならきっと大丈夫です! でも不安があるなら少しですが付き合いますよ」 「これでも、幻想郷の少女ですから! 今日は咲夜さんも大目に見てくれます!……多分」 俺はメイド達に感謝し、結婚の申し込みの必勝法を教えてもらう事にした。 役に立つかはどうかは別として。 同刻 紅魔館内 レミリアお嬢様の部屋 美鈴視点 「で、中国。貴女の気持ちはどうなの?」 え~と、門の番として今日は真面目に勤務していた私は咲夜さんに呼ばれてお嬢様の前まで来て…… 私……何かしたっけ?後、私の名前は中国じゃなくて美鈴です。紅 美鈴。 「え~と……あの~お嬢様?一体、何のお話でしょうか?」 「何を言って……まさかまだ○○から何も聞いてないの?」 「○○さんからって……特に思い当たる節が無いのですが……」 「あの、小心者は……仕方ない。じゃあ、私から言ってあげr」 「お嬢様、そういうのは直接本人から聞かないと意味が無いですよ」 本当に私は何で呼ばれたんだろうか。目の前では、お嬢様が咲夜さんに口を塞がれている。 コントかなぁ?でも違ったら絶対怒られるだろうから笑わない方がいいなぁ。 「分かった咲夜。分かったから手を離して。ゴホン、美鈴。貴女は○○の事をどう思っているの?」 お嬢様が聞いてくる。あれ、中国じゃない。 「え、○○さんですか? とても優しくて良い人だと思いますけど」 「そうじゃなくて、貴女は○○の彼女なんでしょう。その彼女としてどう思っているか聞いているの」 「彼女として……分かりません。でも、絶対に離れたくないです。」 もっと○○さんと一緒に門番を続けたい。 もっと○○さんと戦いたい。 もっと○○さんの笑顔が見たい。 もっと○○さんと話したい。 もっと○○さんと一緒に時を過ごしたい 「それが貴女の気持ち?」 お嬢様が尋ねる。だから私も答える。私が○○さんに言いたい本当の気持ち。 「ハイ。私は……」 私はお嬢様に自分の気持ちを伝える。私が○○さんをどう思っているか。 私の話を聞いているお嬢様の表情は何時もと違う気がする。 「……そう、分かったわ。戻っていいわよ。あぁ、今日はもう仕事に戻らなくていいわ。○○も」 「分かりました。では失礼します」 そして、私はお嬢様の部屋から出て門に向かった。 美鈴が出て行った後、部屋の中で咲夜はレミリアに尋ねた。 「お嬢様。あの二人、どうなりますか?」 「その答えは言わないわよ。だって直ぐに答えは出てくるんですもの」 「そうですか」 「それにしても今日は良い日ね。こんなにも月が紅いんですもの」 館を出ると幻想郷はもう夕方から夜へと変わっていた。 門では○○さんがメイド達に礼を言っていた。そして、私は気づいてこっちを見た○○さんに言った。 「○○さん。今日はもう終っていいとお嬢様が言ってましたよ」 「そうですか。じゃあ、今から散歩にでも行きませんか?」 どうせ、この後は用事が無いので○○さんの提案に乗り散歩に出かけることにした。 夜 幻想郷 夜空 ○○視点 俺と美鈴さんは今、幻想郷の空を飛んでいる。眼前には幻想郷を照らす月が見える。 何故、俺が空を飛べるかというと、簡単に言うとパチュリー様から教えてもらった最初の魔法のおかげだ。 俺の隣では美鈴さんが風を受けて気持ちよさそうに目を細めている。 さっき、(自称)幻想郷の少女であるメイド達に教えを受けていたが、さっぱり役に立ちそうになかった。 どれもこれも自分の恋愛感を言うだけ言って後は頑張れの一言で終っていたからだ。 やはり、自分の気持ちを正直に言おう。 「美鈴さん。俺達が始めてあったときの事、覚えてます?」 俺は、空の上で止まって美鈴さんに尋ねる。美鈴さんも止まって答えてくれる。 「勿論、覚えてますよ。今日と同じ紅い三日月の夜でしたね」 「そうです。あの時、美鈴さんが来なかったら俺は多分、妖怪の餌でしたからね」 「そうでしょうね。初めて紅魔館の門番になったときも生傷が絶えませんでしたからね」 「そうそう。懐かしいですね」 そんな俺と美鈴さんが始めてあった時からを笑いながら話す。 それだけでも幸せだった。でも、人間とは欲が深いものである。 この幸せをもっと増やしたいと思うのも人間としては当然だろう。 「美鈴さん。俺が美鈴さんに告白して何ヶ月が経ったか分かりますか?」 「問題ですか? え~と、5ヶ月ぐらいですね」 「そうです。で、美鈴さんに言いたい事があるんです」 「何ですか?」 俺は意を決する。断られても後悔などしない。するはずが無い。 だから、俺は言う。目の前に居る最愛の人に俺の考えた単純で最高の言葉を 「美鈴さん。いや、美鈴……結婚しよう」 幻想郷の時が止まった。いや、実際には動いているが俺には止まったような気がした。 多分、俺の顔は月に照らされなくても紅いだろう。 よく見ると、美鈴さんの顔も紅く染まっている。それは月の光なのかはどうかは分からないが。 某日 紅魔館 中庭 ?視点 今日は、この紅魔館でパーティーが開かれていた。 主催はレミリア。しかし、主役ではない。 主役は、黒いタキシードに身を包んだ男と純白のドレスを着た女。 「ね、言ったでしょう。直ぐに答えは出てくるって」 そう、呟いたのは小さき吸血鬼。 しかし、その言葉は男と女を祝福する声の中に消えていくだけだった。 以下、後書き 御覧いただき真に有難うございます。現行スレ 55です。 この作品はプロポスレ@Wiki美鈴2の6スレ目 402 の後日談です。 しかし、 402の話を見ていない方も居ると思いましたので始めて呼んでも話が分かるようにしました。 まぁ、個人的な意見としては是非 402の話も読んでいただきたいところですが強制はしません。 長々と書き続けましたが以上、これにて了です。有難うございました。 6スレ目 402 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「○○、いるの?」 「あ、はい。今行きます」 幻想郷に来て早一ヶ月。 異能の力を持つが故に現世の人達から弾き出され、森を浮浪者のごとく彷徨ってて、ようやく出た場所がここだった。 森の中でリボンを付けた女の子に食われかけ、あわやというところを今俺を呼んだ紅魔館のメイド長、十六夜咲夜さんに助けられた。 それ以来、俺はこの館の主人であるレミリア=スカーレット様に気に入られ、ここで執事として生活している。 ……執事と言っても名ばかりで、実際の仕事は炊事やら洗濯やら掃除など。これってメイドの仕事だよな……? まぁ同僚のメイド妖精はこれっぽっちも役に立たないし、咲夜さんに全ての仕事を押し付けるのも男として居心地が悪いので、この待遇で満足している。 ああ、レミリア様に血を与えるという仕事が俺専用にあった。他にも妹様の遊び相手とか……俺、そのうち死にそう。 俺は一応他の一般人とは違い、特殊な能力を持ってはいるが、そんなもんここの人達に通用するわけがない。レベルが違いすぎる。 ていうか、ここの人(人じゃない御方ばっかりか)たちどうやって空飛んでんの…… 「咲夜さん、何か用ですか?」 「どうもまた命知らずな侵入者がやってきたみたいなの。美鈴が壁の修理をしてるから、手伝ってあげて」 「承知しました」 俺は恭しく頭を下げる。 ここの人達は皆強力だ。俺なんか小指一つで成す術の無いまま殺されてしまう。マジで。 俺は死にたくない。だから礼節は欠かさず守っている。 咲夜さんは同じ境遇だからなのか、よく親切にしてくれるけど…… 「美鈴さーん」 「あ、○○さん!」 俺が声をかけると、美鈴さんが嬉しそうな顔で振り向いた。 美鈴さんは一見人間に見えるが、妖怪だ。中国系の服装を身に纏い、紅魔館の門番を仰せつかっている。 彼女はどうも周囲に男っ気が無かったらしく(というか、俺のここでの知り合いは女性ばかりだ)、新しくこの館で仕えることになった俺を可愛がってくれている。 「咲夜さんに言われて、壁の修理の手伝いに来ました」 「あ、じゃあここにセメントあるから塗ってって」 「はい」 幻想郷には魔法があるからそれで直せばいいのに……とも思うが、そう便利なものじゃないらしい。 まぁ、紅魔館で唯一魔法が使えるパチュリー様は外に出ない人だからな。 しばらく修理作業に没頭していると、ふと美鈴さんが怪我をしていることに気付いた。 「その傷、大丈夫ですか?」 「え? ああ、このくらいなら平気ですよ」 「侵入者、強かったんですか?」 「まさか、スペルカードを使うまでも無かったですよ」 美鈴さんはにっこり笑う。 この人の強さは知ってるけど、それでも女の人が傷付くのは正直いただけない。 「あまり無理しないでくださいよ」 「心配してくれてるんですか?」 「そりゃ……まぁ」 「大丈夫ですよ、お姉さん強いんですから!」 えっへん、と美鈴さんが胸を張る。 この人はどうも俺に対してお姉さんぶろうとする。何でも他の人からは自分の扱いが酷いからだかなんだか…… ちなみに胸を張ったとき、そのたわわに実った大きな胸がブルンブルン…… ……ゲフン、ゲフン。 修理が終わったところで丁度昼食の時間になった。監視用の妖精を残し、美鈴さんと食堂に向かう。 メイドの妖精たちは自分たちの食事を作ることしか出来ないので、自分の食事は自分で作らなくちゃいけない。 ……何のために妖精を雇っているのか、理解に苦しむ…… 「今日は○○さんのためにご馳走しちゃいますよ」 「え? でも悪いですよ」 「いえいえ、手伝ってくれたおかげです」 「でも手伝ったのは咲夜さんに指示されたからで……」 「もうっ、お姉さんのいうことは素直に聞きなさい!」 美鈴さんがぷりぷり怒る。 これ以上の遠慮は失礼だし、身の危険も感じてくるので、仕方なく承知する。 怒った顔も可愛いなぁ……と思ったのは秘密だ。 美鈴さんは大きなフライパンを軽々と操り、想像に違わず炒飯を二人前作った。 「いただきます」 俺は感謝の意を込めて手を合わせて頭を下げ、レンゲで炒飯を掬って食べる。 ……ふと隣を見れば、美鈴さんがジーっと真剣な目でこちらを見ていた。感想が聞きたいのだろう。 「美味しいです、凄く」 「良かった!」 美鈴さんが満面の笑みを浮かべる。 「みんなせっかく作ってあげても何も言わずに食べるだけで……○○さんの口に合って良かったぁ」 そう言って微笑む美鈴さんは……とても綺麗だ。 その後無我夢中で炒飯に喰らい付いていると、 「ねぇ、○○さん」 と、美鈴さんが俺の名を呼んだ。 俺も食べる手を止めて、 「はい、なんでしょう」 「○○さんって、いつも一歩引いてますよね」 「……はい?」 「私、○○さんが笑ったところを見たことがないなぁ」 美鈴さんは両手を組んで、そんなことを仰られる。 ……そんなこと言われても、困る。 「笑ってるじゃないですか」 「いえ、○○さんの笑い方は社交的な感じがします。心の底から笑ってません」 「……」 真剣な表情で顔を覗き込まれ、思わず目を逸らしてしまう。 確かに、そのことについて思うところが無いわけでもない。 この幻想郷に来て、いきなり食べられそうになったあの恐怖。 トラウマ、と呼ぶべきなのだろうか。あれ以来、どうもここの人達に対して心の内を開けない。 「……すみません」 「あ、べ、別に責めてるわけじゃありませんから、そんな辛そうな顔しないでください」 「そんな顔してました?」 「ええ」 そうか。 辛いのかな、俺…… 「ねぇ」 美鈴さんが俺の手を取る。 思わず胸が高鳴ってしまうが、なんとか表情には出さずに済んだ。 「もう少し、肩の力を抜いていいと思いますよ。確かに、ここは外の世界とは環境が違うでしょう。 でも、みんな――少なくともこの紅魔館の人達は、貴方をどうこうしようなんて思っていません。 貴方はもう幻想郷の住人なんですから、もっとこの世界を楽しんだ方がいいですよ」 握った手から体温が伝わる。 体温だけじゃなくて、心も……伝わった、気がする。 「なんとか……頑張ってみようと思います」 「はい、頑張ってください! 大丈夫、○○さんを害そうとする輩は私が成敗しますから!」 「……ははっ、期待してます」 外の世界を追い出されて。 ここに来て、いきなり殺されかけて。 色々波乱万丈な人生を歩んでるけど、俺、ここで頑張っていこう。 目の前の、この人が俺を信じてくれる限り…… 「……まぁ手なんか握っちゃって羨ましいわねぇ」 「!?」 「ささささささ咲夜さん!?」 突然声をかけられ、慌てて握った手を離す。 見れば、そこには変ににこやかすぎる笑みを浮かべた咲夜さんが…… 「○○、ちょっといらっしゃい」 「はっ、な、何か御用でしょうか」 「ええ、仕事を頼みたいの。仕事を……ね」 咲夜さんは目を紅く染めて……紅!? ……怖い。行きたくない。 「た、助けてお姉さん」 「む、無理です」 「さっき私が成敗しますとか言ってたじゃないですか!」 「お姉さんにも出来ることと出来ないことがあるんですー!」 「早く来なさい!」 「はい!」 ああ、頑張ろうと誓ったばかりなのにくじけそうです。 誰か俺を助けてください。 「大丈夫よ、あまり痛くしないから」 「痛いことするんですか!?」 へるぷみー。 6スレ目 657-661 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/582.html
美鈴10 新ろだ274 「美鈴、貴方暫く休みね」 「……はぁ」 いつものように門番をしていた美鈴は、レミリアに突然呼び出されて突然の休暇宣言に生返事を返した。 というかこの子、何を言われたのかまだ理解してません。 「それじゃあ、仕事に戻りますねお嬢様」 「貴方、私の話を聞いてたの?」 「はい」 「休みと言ったのよ、私は。いつも働いてくれている美鈴に、少し休んでほしいの」 倒れられても困るじゃない、とレミリアは照れくさそうに言う。妖怪である美鈴は体力も人間を遥かに 越えているが、それでも疲れというものはある。レミリアがふと門を見れば、そこにはいつも美鈴の立つ 姿。朝昼晩を問わず、そこには美鈴の姿があるのだ。 そりゃ心配にもなる。 「……あぁ、休みですか」 ようやく納得がいった表情で、美鈴は自分の休暇を知る。休みという概念が完全に頭の中から抜け落ち ていたらしい。門番中にたまに昼寝をして、咲夜に叱られる美鈴だが休みらしい休みはあまり取ったこと がない。精々、門番隊の者と交代した時ぐらいか。 「やっと分かったの? とりあえず今日から一週間ぐらい休みなさい。その間、何をしててもいいから」 「えーと、別に休まなくても私は大丈夫で」 「いいから休みなさい。というより、休め」 そんなわけで、美鈴は門番の仕事を取り上げられた。突然降ってわいた休暇に、美鈴は戸惑いを隠せな い。自分の仕事場に向かってみると、門番隊の仲間が数人で立っている。自分も混じろうかな、と思った がそうすると後が怖い。 きっと笑顔で威圧される。 (どうしよう。休みって言われても何をすればいいのか) 困った顔で門を見つめ続ける美鈴。一週間ぐらい休め、とは言われたもののやることがない。釣りにで も行こうかとも考えたが、気が乗らない。はぁ、と美鈴はため息をついた。 (昼寝でもしようかな……あ、そうだ) 良いことを思いついた、とばかりに紅魔館を後にする。向かうのは上白沢慧音が守護者をしている幻想 郷唯一の人里。ふんふんふんと、鼻歌をしながら美鈴は人里への道をゆっくりと歩いていく。 「と、いうわけで遊びに来ました」 「何がというわけやねん」 笑顔で訪ねてきた美鈴に、家の主である○○は寝起き顔で突っ込みをいれる。その顔も可愛いなー、と か思ってる美鈴。 この○○、一年ほど前に外の世界から幻想郷へと迷い込んで住み着いた外来人だ。その彼が美鈴と知り 合った経緯については、ここでは割愛する。 「朝っぱらから訪ねてきおって、人の睡眠邪魔するとはええ度胸やん」 「もう昼ですよ」 「俺にとっては朝やの。昼まで寝るんが俺のスタイルや」 ぼさぼさの髪を井戸から汲んできた水で梳かしながら、○○は独特の喋り方で美鈴と話す。関西地方出 身なのは間違いあるまい。 「まぁええわ。で、なんやねん」 「ですから、お嬢様に急に休めと言われたので、遊びにきたんですよ」 「休暇か、美鈴んとこのご主人も中々部下思いやな。その調子で俺のことも大事にしてくれると、非常に 嬉しいよ?」 主に俺の為に、と付け足す。それに苦笑を返すしか出来ない美鈴。○○はたまに紅魔館を訪ねてくるこ とがあるのだが、その度にレミリアに吸血されて貧血になる。レミリアいわく、○○の血が美味しいから らしいのだが、吸血される方はたまったものではない。 彼が紅魔館にくるのは、パチュリーの図書館で本を読むため。で、レミリアに吸血され貧血になった後 は必ず美鈴に人里まで送ってもらう。 「ま、遊びにきたんなら歓迎するわ。つっても、なんも面白いもんはないけど」 「いえいえ、○○さんと一緒にいられたらそれでいいですよ」 「恥ずかしくないんか、そんな事言って」 「……少しだけ」 顔を紅く染めて笑う。それを見た○○も、照れくさくなってそっぽをむく。何をするでもなし、二人は 他愛もない世間話で時間を潰す。人里でこんなことがあった、レミリアのカリスマが急上昇した、フラン がそれをブレイクした、パチュリーがラジオ体操をはじめた、咲夜が新しい紅茶を開発した、など。 高く上っていた日は沈み、辺りは暗くなる。そろそろお開きか、と○○は判断し立ち上がる。 「どうしました?」 「いや、どうしたも何ももう日が落ちたし、お開きや。美鈴も帰るんやろ?」 「あー……そーですね」 煮えきれない返事だが、○○は気にせず夕食だけでも食べていけと言って、準備に取り掛かる。たいし たものは作れないが、文句は言わないでほしいと切に願う。一人暮らしをしているからと言って、家事能 力があがるわけではないということを悟ってほしい。 夕食後、風呂も入ってもらい美鈴と別れる。幻想郷にはテレビやゲームといった娯楽用品がない。夜に やることがないので、自然と寝入るのが早くなってしまう。それはこの一年ほどで身に染みるほどに理解 している○○は、ゆっくりと眠りについた。 家の扉の前に立つ気配に気付かず。 翌日。○○は日が高く上ってから起きだす。意識がまだぼーっとしているのを自覚しながら、外に繋が る唯一のドアを開けた。外に出て目に入ったのは、壁に寄りかかって眠る美鈴。特になんのリアクション も取らず、○○は井戸から水を汲み上げる。冷たい水で顔を洗って、意識がだんだんと覚醒して○○は水 の入った桶を持ち上げる。 それを美鈴に向けてぶっかけた。 「ぷぁっ、さ、寒い!? な、なんですか!?」 「何しとんねん人の家の前で。帰ったんとちゃうんか」 「いえ、暇だったので○○さんの家の門番でもしようかと」 「意味わからん。必要ないやろ」 「えっと……ごめんなさい。なんというか、門番の性分かこうやってないと落ち着かなくて。紅魔館に戻 っても門番できないですし」 申し訳なさそうに指をつんつん。門番をしてないと落ち着かないとは、とんだワーカーホリックな妖怪 もいたものだ。 「で、俺の家でやっとったと」 「○○さんなら、許してくれるかなーって」 舌を出して笑う美鈴は可愛いらしいと思う。仕事熱心なのはいいのだが、それなら門番中に居眠りなど しなければいいのにと○○は思う。 シエスタだから仕方ない。 「まぁええけど、なんも問題なんかおきへんと思うよ」 「いいですよー。○○さんの家の門番、って考えると楽しいですし」 「物好きなやっちゃ」 ただ帰れないだけなら、家にいれてもよかったのに。そう思ったが、口には出さない○○。言えば多分 恥ずかしさで悶絶する。くさい台詞は仕入れていないので提供できない。 「昼飯いるやろ。はいり」 「いただきます」 昼食もすませ、美鈴は再び家の前に立つ。○○もそれに付き合い、美鈴の横に座り込んで時々話しかけ ては無言になる。まだ肌寒い季節、美鈴はあんな格好で平気なのかと○○は疑問に思う。 そんな○○の格好は、厚めのガウンジャケットにジーパン。これでも少々寒いぐらいだが、不思議と美 鈴の横にいるだけで暖かく思える。 (なんやろ、やっぱ美鈴と一緒にいると落ち着くわ) 太陽の光を浴びた向日葵のような暖かさ。それを感じながら、○○の意識は闇へと落ちていく。 「○○さん?」 美鈴が何も言わなくなった彼を見ると、家にもたれかかって静かに寝息を立てていた。あんなに寝てい たのにまだ寝るのか、と呆れる。彼女も人のことは言えない。 しゃがみこみ、○○の横に座る。ちらっと目を向ければ、無防備な寝顔。 「むぅ、一応私妖怪なんだけどな」 今更だ。 「……あは、可愛い寝顔」 ほわっと美鈴の胸の中が暖かくなる。外は寒いが、体まで暖かい。美鈴も家の壁に背をもたれさせ、 ○○の肩にこてんと頭を乗せた。 普段は恥ずかしがって、引っ付かせてくれないのでこういう時にするしか手がない。彼女としてはいつ でもくっついたりしてたいのだが、門番としての仕事もありそれは叶わない。今こうして○○とくっつい ていられるのは、レミリアの休暇のおかげ。 美鈴は改めて、自分の主人の気遣いに感謝した。もっとも、レミリアはただ単に美鈴に休みをとってほ しかっただけであり、こんな気遣いをした気は毛頭ない。 「~♪」 楽しそうに美鈴は笑う。すりすりと顔を肩に擦りつけ、マーキングでもするかのよう。その様子は飼い 主に甘える犬。寝顔を眺めていた美鈴だが、我慢できなくなったらしく○○の顔を少し起こし無防備な唇 にキスをする。 「ん~♪」 実に楽しそうだ。何度も啄ばむようにキスを重ね、さらに我慢できなくなり美鈴は舌を少しだけ○○の 中に侵入させる。流石に自分の口に中への侵入者に気付いた○○は、目を開け至近距離に美鈴の顔がある のに気付くと驚き、さらにキスされていることに気付き二度驚く。そしていつの間に寝てたんだと三度の 驚き山椒の木。 「んっ、むぅっ」 「むーっ」 恥ずかしさで離れようとする○○だが、美鈴はそれを許さずさらに深く口付ける。言っておくが今はま だ昼間であり、彼女達がキスを交わしている場所は家の外。人里の中である以上、人に見つかる可能性は 高い。それゆえに○○は離れたがっているのだが、美鈴からすれば見られて上等。寧ろ見せつけてやると も言わんばかりの勢い。 博麗の巫女もきっとこの光景を目にすれば砂糖生産も容易に違いない。きっと甘さで糖尿病。 「んぅっ」 最終手段として○○は、美鈴の胸を掴んで揉む。体に走る快感に思わず美鈴は震え、その隙に○○は顔 を離す。あーと残念そうに美鈴。 「おま、人が寝てる隙に」 「えー、だって○○さんの寝顔見てたら我慢できなくて。てへ」 「てへ、やあらへん。こんな外でしとったら見られるやろ。恥ずかしさで死ぬわ!」 「大丈夫ですって。次第に慣れてくればそれが快感に」 「ならんっ! なるかっ! なってたまるかっ!」 尚くっついてくる美鈴から逃げ、○○はため息をつく。別にキスすることが嫌なのではなく、本当に人 の視線にさらされるのが嫌なのだ。彼には見られて興奮する性癖はない。美鈴も……きっとないと信じた い。 一人でも見られてしまえば、きっと彼は人里を暫く歩けない。積極的な美鈴と、消極的な○○。カップ ルとしてはいい相性なのだろうが、なにぶん美鈴の積極性は手加減を知らない。 「とりあえず、外ですんのはやめれ」 「じゃあ中でならいっぱいしていいんですね!?」 「そういう意味ちゃうわ阿呆! って、人を抱き上げるな!」 「えへへへへへ、今日も門番するつもりなので、○○さんに元気もらいます」 おろせと喚く○○の言葉をスルーし、美鈴は笑顔で家の中に入る。仮にも妖怪、男だとしても人間相手 に力負けするわけはない。○○の家のドアが閉まり、その中から ※この先を見たい場合は、紅魔館の門前まで行きPAD長と叫んでください。 一週間後、美鈴は休暇を全力で楽しみ再び紅魔館の門前に立つこととなった。戻ってくる際、○○に元 気をくださいといって迫ったのはいうまでもない。最後なので回数は多かった。何の回数かは明言しない。 しかしあえていうなら、○○のスペルカードが何枚もブレイクしたとでも。 「うん、今日も良い天気」 相変わらず外は寒いが、日差しは暖かい。吸血鬼にとっては疎ましい天気だが、美鈴が世話をする花達 にとってはいい栄養になる。 「えへへ、○○さん可愛かったなぁ」 何を思い出したのか、人が見れば引くような顔で笑う。それをたまたま目撃した門番隊の妖精が隊長が 壊れたーと叫んで飛んでいったが美鈴は気付かない。彼女の頭の中には、涙目で許しを請う○○の姿が映 し出されているから。 そんな事実はなく、美鈴の中で都合の良いように記憶が改ざんされているだけだ。迫る美鈴に○○が怯 えていた、というのは事実だが。 「あら、美鈴。ずいぶんと機嫌がよさそうね」 「あ、咲夜さん。どうしたんですか?」 「別に。それで、休暇はどうだった?」 昼寝をしてさぼっていた美鈴をお仕置きしていた咲夜だが、彼女も多少なりとも心配していたらしい。 「はいっ、楽しめました。いやー、好きな人と一緒にいるだけでも癒されますね」 「あぁ、○○の所に行ってたの?」 「えへへへへ、○○さん凄く可愛かったですよ。思い出しただけで……」 にへら、っと笑いをこぼす美鈴に引く咲夜。何があったのか気になるところだが、多分聞かない方がい いと彼女の勘がいう。 「ま、まぁいいわ。それじゃ、ちゃんと門番しなさいよね。寝てたりしたら、また殺人ドールの刑よ」 「は、はい。勿論です!」 ナイフで刺されちゃたまらんとばかりに、美鈴はびしっと門前に立つ。それを見届け、咲夜も自分の仕 事をするべく館内へ戻る。 紅魔館は今日も平和である。 新ろだ287 ある暖かい冬の日。 小春日和と言うには少し遠いが、柔らかい日差しと風がないおかげで、猫が縁側に出る程度には暖かかった。 そして、紅魔館にもその恩恵を全身で享受している者が一人。 門前の紅美鈴を眺め、青年は口を開いた。 「……これじゃ『幻想郷縁起』にも載るわけだ」 地面に座り込んで門柱に寄りかかるという、門番にあるまじき格好で、美鈴は眠っていた。 いくら暖かいとはいえ、冬の屋外で居眠りができるのはある種の才能ではないかと、青年は思った。 とにかく、このまま美鈴を寝かせておくのはいろいろと問題がある。青年は美鈴を起こすことにした。 「ただ起こしてもつまらんな。チョップでも喰らわすか」 青年は美鈴の前にしゃがみ込んで、挨拶をするかのように片手をあげた。 それを振り下ろそうとして、ピタリと静止する。 手を止めた青年の視線の先では、眠ったままの美鈴が幸せそうな笑みを浮かべていた。遊び疲れた子犬を思わせる寝顔だ。 青年は黙って手を引っ込めると、着ていたコートを脱ぎ、そっと美鈴の肩に掛けた。 「まったく、どんな夢を見てるのやら」 季節は冬。虫も鳥も姿を見せず、紅魔館の周囲で様相を変える景色は、空しか存在していなかった。 ただぼうっと、青年は流れる雲を眺め続けていた。 * * * しばしの時間が流れ、美鈴はパチリと目を開けた。自分が眠ってしまっていたことを悟り、慌てて周囲を見回す。 「やっとお目覚めか。残念ながら、メイド長も黒白も来てないぞ」 「そっか、よかったぁ……て、あれ? いつの間に?」 安堵の息を吐いて、ようやく美鈴は隣に座り込んでいる青年の姿に気づいた。 青年は自分の口元を指差す。 「お前さんがヨダレ垂らして寝てる間に、だ。ホレ、口のここんとこに跡が……」 「え!?」 手の甲で口元をゴシゴシとこする美鈴に、青年は冷静に言った。 「嘘だ」 この手の嘘に引っかかるのは何度目だろうか。美鈴はガクリと肩を落とす。 これが醍醐味だと言わんばかりに青年は笑った。 「あんまり起きないもんだから、額に『中』って焼き印を押してやろうかと思ったぞ」 「焼き印!? せめて落書きにして下さいよ! 落ちないじゃないですか!」 落ちないのが問題なのか、と青年は心の中で突っ込む。 ふと、美鈴は気づいた。自分の体にコートが掛けられていること、それに青年がしばらく自分の傍にいてくれたことに。 「コート、掛けてくれたんですか? それに、もしかして私の代わりに見張りを……?」 「まさか。お前さんの寝顔があんまりにも面白いんで、眺めてただけだ。 コートの方はパンツ丸出しでみっともなかったから隠してやった」 「え!? ……て、もう引っかかりませんからね」 ち、とわざとらしく舌打ちをして、青年は楽しそうに口元を歪める。 口ではああ言っているが、本心では自分のことを心配してくれたのだろうと想像し、美鈴は嬉しそうにコートを胸元に引き寄せた。 「何、嬉しそうにしてるんだよ。寝てるときもそんな顔してたな。いい夢は見られたか?」 仕事中に夢なんか見てるんじゃない、という皮肉のつもりで青年は言ったが、美鈴は気づかなかった。 起きた瞬間には忘却の彼方だったが、鮮明に呼び起こされる夢の記憶。 眠っていたときの幸せな気分を思い出し、同じように美鈴は笑った。 「ええ。見ましたよ、いい夢。それも、正夢でした」 「正夢? さっきの今で見た夢なのにか?」 嬉しさをこらえきれない表情で、美鈴は頷く。そして、言った。 「はい。好きな人が会いに来てくれる夢、です」 「好きな人って、誰だよ」 「……えへへ」 美鈴は答えず、青年を見て眼を細めると、頬を赤らめて照れ臭そうに笑うだけだった。 ドクンと心臓がひときわ大きく弾み、血液が顔面に集中する。 慌てて顔を背けると、反応に困った青年は常となっている減らず口をたたいた。 「へ。趣味の悪い女だ」 「そうですよ? 滅多にいないんですから、大事にして下さいね」 「……ま、俺なりにな」 ほんの少しだけ、青年の口の端が緩む。 ふてくされたような、愛想のない横顔。青年が照れたときにだけ見せるこの表情が、美鈴はとても好きだった。 * * * 一陣の風が吹き、青年の顔の火照りを吹き飛ばしていく。 顔の赤みは取れたものの、風で体温を奪われ、青年は自らの肩を両腕で抱いた。 「冷え込んできたな。起きたんなら、そろそろコート返してくれ」 「あ、そうですね」 体に掛かっているコートを取り払おうとして、美鈴は手を止めた。 コートから間接的に感じる彼の温もり、彼の匂い。この素直でない男がコートのように包んでくれるのはいつのことだろうか。 そう思うと、急にコートを手放すのが名残惜しく感じられた。 「あの、もうちょっとだけ、貸しておいてもらえません?」 「寒いんだよ」 「じゃあ、こうしましょう」 スススと青年に近づき、美鈴は自分と相手の肩を寄せ合わせた。そして、二人一緒にコートにくるまった。 さほど大きいコートではないため、身を縮こまらせて密着しないと二人同時に収まることはできない。 「これなら二人とも暖かいですよね?」 「……誰か来たら、すぐに追い出すからな」 つまりは、誰か来ない限りはこのままでいい、と言うことである。 ここは紅魔館、悪魔の棲む館。そうそう人通りがあろうはずもなかった。 「えへへ、暖かいですねぇ。あれ、何だか顔が赤くないですか?」 「お前さんにコートを取られてたから、風邪引いたんだろ」 「それは大変。もっと暖かくしないと」 そう言って、美鈴は負ぶさるように青年の背中にのしかかり、首から前に両腕を回した。 背中から伝わる体温と、柔らかな感触を感じながら、青年は言った。 「重てえ」 「愛の重みってヤツです」 笑いながら、美鈴は失礼な男の首を甘く絞めた。 * * * 美鈴を背負ったまま、青年は口を開いた。 「それにしても中国よ。この冬の最中にそんな軽装で寒くないのか?」 「そりゃ、寒いですよ。ある程度は『気』でどうにかなりますけど。あと中国ってゆーな」 「寒けりゃ上に何か着ろよ。見てるこっちまで寒くなる」 「厚着したり丈の長い服を着たりすると動きを妨げますからねぇ。 ……実を言うと、いつもの魔法使いとの戦いで破れちゃって、着られたものじゃないんですよ」 それでも少しくらいは寒さをしのげるだろうが、そんなボロボロの身なりで門前に立っていたら、美鈴の前に小銭が飛んでくるかもしれない。 なるほどと青年は頷いた。 「なら、新しいのを買えよ」 「お金、無いんですよ」 「仕方ない、一着くらいなら俺が買ってやるよ。また、今日みたいな真似をさせられちゃ堪らん」 青年がそう言うと、美鈴はポンと両手を合わせた。 そして、誕生日には何が欲しいかと親に尋ねられた子供のように、キラキラと目を輝かせる。 「え! それってもしかして、プレゼントですか!?」 「プレゼントじゃない。施しだ」 いつものように青年は悪態をつくが、喜びの詰まった美鈴の耳に届くことはなかった。 「うわぁ、初めてのプレゼントだぁ。嬉しいなぁ……。 じゃあ今度お休みをいただいたら、一緒に選びに行きましょうね」 「俺が適当に見繕ってくるんじゃイカンのか?」 「だってセンスが……」 「……ヒデぇ言い草だ」 珍しく、青年の方がうなだれた。よほど精神的な痛手を受けたのか、自分の服装を見て何やらブツブツと呟いている。 美鈴は顔の横で両の拳を握り、その手を力強く下に引いて、気合い満々という構えを見せた。 「初めてのプレゼントに、初めてのデートかあ。これは気合いを入れてかからないと! 最初にお揃いのコートを買って、それを着て街を巡って、途中で甘い物なんか食べて、それから……えへへへ」 「コートを買いに行くだけのはずだったような気がするんだが……ま、好きにしな」 軽く肩をすくめ、青年は美鈴の腕からスルリと抜け出して立ち上がった。 そして、美鈴に背を向けたまま歩き出す。 「じゃあな。居眠りしすぎて風邪引くんじゃないぞ」 「そ、そこまで間抜けじゃないですよ!」 「どうだか。お前さんの間抜けさは筋金入りだからな。ま、せいぜい暖かくするこった」 振り向かずに手を振りながら去っていく青年を、美鈴は舌を出して見送った。 青年の姿が見えなくなったところで、気づく。美鈴の肩には、まだ少し大きめのコートが掛かったままだった。 コートを体に引き寄せて、美鈴は顔を綻びさせた。 「……どっちが間抜けなんですか」 ぶっきらぼうで、素直でなくて、自分をからかってばかりだけど、時折優しさを見せてくれる、彼。 どうせなら普通に優しい人の方がいいに決まっているのに、どうしようもなく彼が好きな私は、やっぱり間抜けなのかも知れない。 なら、間抜けでもいいや。でも、少し悔しいから今度のデートでは彼に仕返ししてやろう。 そう考える美鈴の耳に、遠くから大きなクシャミの音が届いた。 お母さん美鈴 その1(新ろだ297) 紅魔館の門を守護する番人、紅美鈴。幻想郷におけるスペルカードルールに乗っ取った弾幕 ごっこは苦手だが、こと生身における戦闘では高い実力を持ち、かつ自身の能力である気を使 う程度の能力で無類の強さを誇る。 彼女はいつも門前に立つ。紅魔館に侵入しようと考えない限り、世間話程度なら付き合って くれる気さくな妖怪だ。愚痴なども零すが、それを聞くのも一つの話題。 人里の人間は紅魔館の面々には良い印象を抱いていない。当たり前だ、ここに住む者はメイ ド長を除き全て人間ではない。人間である十六夜咲夜も、およそ常人とは言いがたい能力を持 っている為に中々受け入れられない。 そんな中、美鈴だけは例外だった。礼儀正しく、こちらから危害を加えない限りは危険度の 少ない妖怪。幻想郷縁起にもそう記されている。美鈴がたまの休暇で人里にやってきては、彼 女を慕う子供達が集まる。無論、里の者全員に受け入れられているわけではない。 話が逸れた。 紅魔館の門番として、日々立ち続け黒白こと霧雨魔理沙がやってきてはマスタースパークで 吹き飛び、その失敗を咲夜に責められる。いつもの日常だ。マスタースパークは痛いし、咲夜 のナイフもかなり痛い。それでも慣れると、あぁ今日もいつも通りだなと達観できる。 しかし、数週間前から門に立つ美鈴に見慣れぬ"モノ"が付属することとなった。それは美鈴 はおろか、咲夜にパチュリー、小悪魔、レミリア、さらにはフランドールすらも手玉に取る最 強の存在。恐らく、紅魔館内部で最強といっても過言ではない存在だ。 そして今日も、美鈴はその最強の存在を"背中に乗せて"門に立つ。数週間前から増えた、美 鈴のもう一つの仕事。 それは―――――――― 「ふぇ、ふぁぁぁぁぁんっ!」 「あぁはいはい、お腹空いたのね。すぐ御飯あげるからねー」 ○○と言う名の、赤ん坊のお守りである。泣き声をあげる○○をおんぶから抱っこに変え、 美鈴は仲間に少しだけ門前に立つよう頼み、屋敷の中へと入る。その間、なんとか泣き止んで もらおうとあやすのだが、やはり相手は可愛い傍若無人の赤ん坊。欲求を抑えるという考えを もてない以上、早く御飯を……もっと直接的に言うのなら乳を寄越せと言わんばかりに泣く。 「うぅ、子育てって大変だ」 これをやっている人間の里の母親達は偉大だと美鈴は思う。母乳は出ないんだけどなぁ、と チャイナ服の胸の部分をはだけ、○○に吸わせる。パチュリーにもらった育児の為の本(何故 そんなものがあるのかは謎だったが)には、赤ん坊は人の体温を感じることで安心すると書い てあったからだ。食堂につくまでの間、これでなんとか気を紛らわすしかない。 もう数週間もやっていることだ、慣れはするが疲れは感じる。しかし、美鈴は決して子育て が嫌になってはいない。 「ふふ、必死になってる。可愛いなぁ、赤ちゃん」 目を細めて自分の胸に吸い付く○○を見る。その顔は、どう見ても母親のそれ。 さて、何故この○○という赤ん坊が紅魔館に来ることになったのかの経緯を説明しよう。 それは美鈴が非番の日のこと。紅魔館の前にある湖で釣りでも楽しもうと用具一式をもって 湖へと行った美鈴だが、何やら騒々しい。何かの泣き声と怒る声、そしてそれを宥めるかのよ うな声が聞こえてきた。 「チルノに、大妖精かな。おーい、何やってるのー?」 見覚えのある色が二つ、湖近くの茂みであーだこーだと言い合っている。そこに近づいてみ ればチルノと大妖精、そして極めつけが籠に入れられた人間の赤ん坊。 「あ、門番さん」 「中国!」 「おはよう、大妖精。チルノ、中国じゃなくて美鈴ね? で……この子は?」 「その……私達がいた時には既に。それと紙が一緒にあったので呼んだんですけど」 はい、と手渡される。ある程度予想はしつつも、美鈴は紙を読む。大方の予想通り、貴方を 育てる余裕がない、本当にごめんなさいといった文章が綴られている。 「捨て子、みたいね」 「……可哀想です」 妖精や妖怪とはいえ、感情は持ち合わせる。相手が人間の赤子とはいえ、例外はない。それ は彼女らが妖怪や妖精の中で少し変り種だから、という事だからかもしれないが。 「大ちゃん、中国。この子泣き止まないんだけど」 「おぎゃああああああああああ!」 「うるさいー!」 直感的に不安を感じ取っているのだろう、赤ん坊は泣き続ける。チルノにそれを分かれと言 っても難しいだろう。見ていられず、美鈴は籠から赤ん坊を抱き上げる。彼女にも子守の経験 はないが、なんとかならないかと考えた上での行動だった。 「よしよし、怖くないからね。良い子だから泣き止んで」 「ふぁ……あぅ」 美鈴があやすうちに、赤ん坊は少しずつ泣き止む。そしてきょとんとした目で、美鈴をじー っと見つめている。 (なんか可愛い) その顔に美鈴は愛しさを感じる。赤ん坊が泣き止むと大妖精は安堵し、チルノは突然泣き止 んだことに首を傾げる。そのまま美鈴は赤ん坊をあやし続けると、不意に楽しそうな声。美鈴 の腕の中の子は、少しでも力を入れて握ってしまえば折れそうな手を、美鈴へと伸ばしてきゃ っきゃっと笑っている。 「あ、笑った」 「現金な奴ね。中国に抱かれて笑うなんて」 そう言うチルノだが、笑っている赤ん坊の顔を見てどことなく楽しそうだ。大妖精も母性本 能を刺激されたか、頭を撫でている。 「でも、どうしましょう。この子……」 「……とりあえず、私が連れていく。お嬢様になんとか頼み込んで、少しだけでも置いてもら えるようにするわ」 難しいことだが、こんな無垢な赤ん坊を死なせるのは非常に心苦しい。心配そうな大妖精に 大丈夫と言い残し、美鈴は紅魔館へと連れ帰る。 結果だけを言うのなら、この赤ん坊――美鈴が○○と名づけた――は紅魔館にいることを許 された。最大の理由は、この○○がレミリア達のことを恐れなかったから。赤ん坊は直感的に 恐怖を悟る。ましてや、レミリアやフランドールは吸血鬼。ただでさえ弱い赤ん坊にとって、 彼女達の存在は近くにいるだけでも恐怖だというのに、この○○は怖がるどころか楽しそうに 笑ったのだ。 それがレミリアに気に入られたのだ。 そして話は冒頭へと戻る。 「あら、美鈴」 「咲夜さん、すいませんけどミルクお願いできますか? ○○がお腹空かせたみたいで」 「ふふ、えぇ。少し待っててもらえるかしら」 そう言う次の瞬間には、既に咲夜はミルクが入った哺乳瓶を片手に佇んでいる。時間を操る 程度の能力を持つ彼女だからこそ、出来る芸当だ。 美鈴から○○を受け取り、ミルクを飲ませる。小さな手で健気に哺乳瓶を掴み、ミルクを飲 み干してゆく姿を美鈴と咲夜は微笑ましそうに見つめる。 「やっぱり可愛いわね」 「はい。今じゃ紅魔館のアイドルですね」 「そうねー、お嬢様や妹様もご執心だし。パチュリー様に小悪魔も子守してる最中は楽しそう だもの」 「でも、○○のお母さんは私ですからねっ?」 「そんなむきにならなくても。○○が一番懐いてるのは貴方なのは分かってるでしょうに」 苦笑する咲夜。ミルクを飲み終わってげっぷを出させた後、○○を美鈴へと返す。お腹いっ ぱいになって眠くなったのか、美鈴に抱かれる○○は目をとろんとさせている。それがまた彼 女らの母性本能をくすぐり、顔が緩む。 「めーりーん」 「あ、妹様。お嬢様も」 噂をすれば影、フランドールとレミリアが食堂に姿を現す。本来吸血鬼である彼女らは夜行 性なのだが、こうしてふらっと昼に起きてくることも少なくはない。 「○○は?」 「ミルクを飲んで、おねむみたいです」 レミリアが美鈴の腕に抱かれ眠そうにしている○○を見て、頬を緩ませる。ふわりと少し浮 遊し、○○の頭をそっと撫でる。数週間、長い人生でたったの数週間過ごしただけだというの に、レミリアの中には○○を慈しむ心が生まれていた。 今は赤ん坊でも、時間が過ぎていけば○○は成長し、そして死んでいく。それもレミリアや フランドール、美鈴よりも先に。咲夜は人間である以上、○○より先に死んでしまうだろう。 それでも、今この瞬間はレミリアにとって何よりも何物にも変えがたい。 「ふふ、可愛いわね」 「○○おねむかー」 残念そうにフランドールはすぐにでも眠りそうな○○を見る。一緒に遊ぼうと考えていたか ら少々残念なのだろう。遊ぶといっても、無論弾幕ごっこでは決してない。紅魔館の中を歩い て色々なものを○○に見せ、そして笑う○○が見れれば良かった。 「ぁぅ……」 ゆっくりと○○の瞼が閉じていく。その瞳には、優しそうに笑う美鈴や咲夜、レミリア、フ ランドールの顔が写る。暖かさを感じながら、○○は眠りにつく。 「お休み、○○。お母さんがずっと一緒だからね」 紅魔館に増えた新たな住人、○○。彼には優しい母親と、自分を見守る五人の姉がいる。そ んな彼に幸あれ。 -------以下、小ネタ--------- 「あぶ……ぁぅぁ」 「あれ、○○?」 「ぅーぉぅ……」 「な、何か言おうとしてる!?」 「お、お嬢様ぁぁぁぁぁ、妹様ぁぁぁぁぁ、パチュリー様ぁぁぁぁぁ、こあくまぁぁぁぁ!」 「何よ咲夜、そんな大声出して」 「ま、○○が喋ろうとしてます!」 『なんですって!?』 「ぅー……ぉぅ」 「ほ、本当だわ」 「な、何を言いたいんでしょう」 「こういう時の相場はママに決まってますよ!」 「……そうかなぁ? なんか別のこと言おうとしてるような」 「頑張って、○○。お母さん見てるからね?」 「……ぅーぉく」 「ん?」 「ちゅーごく」 『…………』 新ろだ306 (今年は逆チョコ・・・ねぇ) 紅魔館の門の前でおれは考え込んでいた。 「どうしたんですか?○○さん」 「え?…あぁ、ちょっと考え事をな」 隣に座っている門番の少女に話しかけられ、おれはドキッとした。 …この娘はチョコレートは好きなのだろうか? 「そういえば、もうすぐバレンタインデーですね」 「っ!?」 びっくりした…。心が読まれたのかと思った。 「といっても、私はお菓子を渡す相手なんていないんですけどね。たはは・・・」 頭を掻くしぐさをする。か、かわいい・・・。 「あ、でも今年は逆チョコって言ってさ、男性から女性にチョコレートをあげるってのがある、らしいよ」 「へぇ~そうなんですか。じゃあ○○さんは誰にあげるんですか?」 自分がもらえるとは考えられないんだろうか…。結構長い間一緒に門番の仕事してるのにさ。 「美鈴はチョコレートとかって好きか?」 「チョコレートですか?えぇ、大好きですよ。でもどうしてそんなこと聞くんですか?」 まだ気付かんか…。おれは誰よりも美鈴に渡したいと思っているのに。彼女は気付いてくれない。かくなる上は、 「でも、今年は男性から渡すんですか…。じゃあこんなもの持ってきた意味、なかったですね」 「え?」 美鈴の手には赤くラッピングされた小さな箱が。おそらくは、チョコレート。 「それ…おれに?」 「はい。少し早いんですけどね。○○さんが何ていうか気になって…できるだけ早く渡したかったんです」 「そうか。でもさっき、渡す相手がいないって」 「○○さんがどんな反応をするかと思って、無反応だった時ちょっとがっかりしましたよ。『俺がいるだろ』っとか言ってほしかったですよ」 「あ…ごめん」 言おうとは思った。でもさすがに自意識過剰ではないかと思った。きっとおれなんか眼中にないんだと。 「といっても、今年は逆チョコなんですよね。はぁ、わたしついてないなぁ」 「…もらうよ」 「え?」 「逆チョコなんてお菓子メーカーの陰謀だろうし、みんながみんなそうってわけじゃない。それに、美鈴がせっかく用意してくれたものをおれが貰わないわけないだろう」 「じゃ…じゃあ」 「あぁ、とってもうれしいよ。ホワイトデー、楽しみにしててくれ」 「あ、はい!」 彼女からもらった形の崩れた手作りチョコは、涙が出るほどおいしかった。 新ろだ371 「明日だな…」 おれは物思いにふけっていた。 明日は野郎にとってはうれし恥ずかしホワイトデー。先月美鈴にチョコレートをもらったおれは必然的にお返しを渡さなきゃいけないわけだが…。 「どうしたものか」 とりあえず何がいいか調べるべきだよな。 「美鈴に、お返し?」 「そうそう、ここって図書館だろ?そういう類の本もあったりしない、かなーって」 とりあえず喘息持ちの魔法少女に聞いてみることにした。ちなみにおれは美鈴と同じ紅魔館の門番の仕事をしているから紅魔館に入れるのは別に珍しいことじゃあない。 「さぁ、どうかしら。自分で探せば」 ひでぇ。まぁ仕方ないか。とりあえず近場にある本を適当に。 「ちなみに、私の魔導書に触ったら燃やすから」 「理不尽っ!」 家臣に対しても容赦なしか。 他を当ろう。 「ホワイトデーですか?」 「そうそう、なんかいい感じのネタないか?」 天狗の新聞記者に聞いてみた。紅魔館に取材に来ていたのをたまたま捕まえたのだ。 「無い…ことはないですが、どうしてですか?」 他人にホイホイ話すようなことでもないよな…。 「はは、いや、ちょっとな」 「まぁ別にいいですけど…あ、今から行く取材に協力してくれたら教えてあげますよ」 今日中に何とかしたいんだからあんまり時間ないんだけどな。 「どんな取材?」 「『吸血鬼の怒らせ方』っていうタイトルの記事で、いまからレミリアさんとフランドールさんにいろんなことを試しに行くんですよ」 「なんつー自殺行為だ…」 取材でも何でもねーじゃねぇか。誰が協力するんだよ。 他を当ろう。 「ホワイトデーかい?」 「そうそう、あんたなら何か知ってるだろ?」 道具屋の店主に聞いてみた。魔法の森で数時間迷った挙句この店に着いたわけだが…。もう二度と来たくない。 「そういえば、そういった関係の本が確か最近入荷していたはずだったんだが…あ、あったあった」 霖之助は奥から薄い雑誌のようなものを取り出してきた。 そこには『簡単!男でもできる手作りスイーツ』と書かれている。 「って、じぶんで作るのか?」 「当たり前だろう。相手の娘からは手作りをもらったんだろう?じゃあこっちも手作りで返すのが礼儀だろう」 そんなもんかなぁ…。 「まぁいいや、じゃあこの本いただくよ。 「毎度あり」 「…作るか」 とりあえずチョコレートをもらったんだからチョコレートで返す…でいいのかな。 「それじゃ安直過ぎるか。…なになに、『ホワイトデーのお返しはこれ!手作りキャンディー。飴を舐めてる彼女を見てムラムラしちゃおう!』って、なんつー…」 でもまぁ材料はそろってるし簡単そうだ。これでいいか。 ―少年製作中― 「できた」 典型的な棒付きの飴を6本ほど。まぁ十分だろう。 明日に備えて今日は早く寝るとしよう。 翌日 「ひどいじゃないですか○○さん。昨日は仕事さぼったりして」 あぁ、そういえばそうだったな。 「ごめんごめん。ちょっと用事があってな」 お前のためにお菓子を作ってた、とは言えんわな。 「まぁいいです。今日も一日がんばりましょう」 「あ、ああ」 さてと、今おれは右手に美鈴に見えないように飴の入った小包を持っているわけだが。こういうのは渡すタイミングが肝心だよな。なるべく慎重に。 「あ、そういえば今日って何月何日でしたっけ?」 「え!?」 揺さぶりをかけてきた?いや美鈴に限ってまさかそんな…、純粋に聞いてきただけだよな。 「えっと、3がt」 ドカーーーーン! 唐突に轟音。 「わ、わぁ!」 「ひゃっ」 なんだなんだ?爆発音!?上から…。 「ごめんごめん、ちょっとお邪魔するぜ」 なんだ魔理沙か。驚かせやがって。ってかわざわざ紅魔館の壁をマスタースパークで破壊したのか?勘弁してくれよ。おれたちが怒られる。 「って危ない!」 「え?」 美鈴の上に瓦礫が!くそっ! 「避けろ!」 ギリギリのところで美鈴を押し倒す。危なかった…。 「痛たたた…すいません○○さん、私ボーッとしてて」 「ああ、おれもすまねぇ大丈夫か?」 「はい、平気です」 魔理沙の奴め、美鈴に何かあったらタダじゃおかねーぞ。でも、美鈴の上に乗っかれたのはちょっとうれしい…かな? 「…」 「…」 さて、会話が途切れた今がベストタイミングか?そうだ、今だ! 「あのさ、美鈴」 「はい?」 勇気を出せ、おれ!手に持つ小包を差し出せ! 「今日って、3月14日じゃん」 「あ、そうですね」 「これ・・受け取ってくれるか?」 「…なんですか、これ?」 よし渡せた。差し出された包みを開ける美鈴。どんな反応を…。 「わぁ・・・棒飴ですか?これ○○さんの手作りですか?」 「あぁ…今日ってホワイトデーだろ。ほら、バレンタインの時、おまえにお返しするって言ったじゃん。覚えてる?」 すると美鈴は顔を赤くした。 「あ、はい。覚えてます。そうか、今日はホワイトデー…。もしかして昨日休んだのって、これを作るために・・・」 「悪かったな。大変だっただろう」 「いえ、全然!…すっごく嬉しいです」 美鈴は目に少し涙を浮かべている。喜んでもらえておれもうれしい。 「せっかくです。仕事中ですけど、一緒に食べましょう」 「お、おお」 美鈴から1本差し出される。自分で作ったもんだけど・・・まぁいっか。 「いただきます」 一口食べてみる。うん、我ながらなかなかの出来だな。 すると隣で美鈴がくすくす笑っている。 「ん?」 「ふふ…その飴、さっき私が少しだけ舐めました」 「ゴフッ!!!ごほ・・・げほっ」 なん・・・だと?いやそんなまさか…。それがほんとなら間接キ…。 「あはは、冗談ですよ」 そ、そうかびっくりした。って冗談かよ。 「お、驚かせるなよ。まったく」 「ごめんなさい、怒っちゃいました?」 「おこってねーよ」 いや、ちょっと怒ってるかも。せっかく美鈴と間接…間接……。 「本当にごめんなさい。えっと、お詫びに私からもプレゼント、あげます。ちょっとこっち向いてください」 「ん?なんだy…」 次の瞬間、体全体に柔らかい感触が広がった。美鈴がおれの背中に手を回す。 美鈴は俺に抱きついてきた。 「な…なんななな…なにをおぅっ!?」 「ふふ、お詫びのしるしです」 すぐに美鈴は俺から離れた。 「今度は間接なんかじゃなく本当の、しましょうね」 美鈴は唇に人差し指を添えてほほ笑んだ。 その日の仕事は全く手に付かず、まともに美鈴の顔が見れなかった。
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/404.html
神無月外界旅行に便乗して俺達もどこか出かけようということになった。 とりあえず体を動かせるところがいいと美鈴がリクエストしてきたので 新しくできたと言われる室内プールに入場できるコースに行くことにした。 しかし間近で見るとこれはデカイ……。というより造る場所を間違えてないか? なぜこんなあまり知られていない地方都市なんかにこんなすごいものを……。 「ふえー、大きいですね。もしかしたら紅魔館よりも大きいかもしれませんね」 「そうだな。でもそれレミリアに言わない方がいいよ。絶対これより大きくしなさいって言うだろうから」 「あはは、そうですね。お嬢様ならそう言いそうです」 ニコニコと笑う美鈴を見て俺は若干わくわくしていた。 言うまでもなく美鈴はナイスバディの持ち主だ。 今日は外界に行くというのでいつものアオザイではなくデニムの上着にTシャツ、ジーンズという姿だが胸もおしりも大きいのにウエストはキュッと締まっている。 これが水着に着替えたらと思うと完全に頭が逝かれそうだ。 「あのー、○○さん? 大丈夫ですか?」 ――ハッ! いかん、妄想だけで逆上せてどうする。平常心平常心。実物を見て即死したら映姫様になんて言われるかわかったもんじゃない。 「そ、それじゃ着替える場所は別だから中で合流しようね」 「はいっ!」 10月というのにプールの中は夏真っ盛りだった。日差しがギラギラと照りつけまるで南の国にきたみたいだ。 ……美鈴の水着かぁ。普段見えてる脚はすらっと長いし、巨大肉まんといったらもうね、言わなくても分かるよな? 「一種のスペルカードだよな……」 幻想郷4大おっぱい四天王に迫る武器を持つ美鈴を待ちながらとりあえずプールサイドでぽけーっとしている。 でないと茹であがりそうだから。 「○○さんっ、おまたせしました!」 振り返るとそこには女神がいた―― 「ふぇ~、熱いですねー。外は秋そのものなのに」 考えることができない。完全に彼女の水着にやられてしまった。 「ふふふ、今日のために新しい水着買っちゃったんですよ? 似合いますか?」 「あ、ああ、にあってる」 似合っているなんてもんじゃない。まるで彼女のために作られたかのような気がするほどピッタリだ。 美鈴の水着はビキニ姿で白く透き通った肌と、たわわな身体を包み隠す布が申し訳程度にしかなっていない。 「……○○さん? 大丈夫ですか?」 「あ、う? いや、あの、その」 ……どうしよう。うまくしゃべれない。せっかく美鈴と楽しもうとプールに来たのにこんな有様じゃどうしようもない。 さっきまで『めーりんの水着たまらないだろうなうへへ』なんて考えていた癖に実物前にしてこれじゃ救いようのないヘタレだ。 胸の谷間とか喉のあたりの柔らかさなんかを見て暴走している俺が不純だからわるいんだっ。 えーきさまー。俺を裁いて正気にもどしてくれー。 「……○○さん」 俺の両手を柔らかく包み込んでくれた美鈴の手はとても暖かい。 「ちゃんと私のこと見てください。その……ちゃんと見てくれない方が、恥ずかしいです……」 ――そうだ、俺が照れていちゃ美鈴だって恥ずかしいだろう。 しっかりと気を保ち、美鈴を見つめる。 「……すごく、かわいい。想像していたよりもずっと」 「ほ、ほんとですか!? お世辞じゃないですよね!」 「お、お世辞ならもっと凄いこと言うよ」 「や、やりました! 最初はちょっと大胆かなって思ったんですけど、勇気を出して正解でした!」 満面の笑顔で腕を絡ませる美鈴。 ぎゃぼー! う、うでに、に、にくまんの感触がぷにぷにとー! そこまで心の準備はできてないのじゃよー! は、早く水に入って頭を冷やさないと本当にピチュってしまう! 「と、とにかく泳ごう!」 「はいっ」 ザブザブと水をかき分け俺達は沖の方へと泳いでいった。 水に入ってまず思ったことはやっぱり美鈴は体を動かすのが得意だってことだ。 まるで水泳の選手のような綺麗なフォームでスイスイ泳ぐので周りの視線集めまくり。 ……なーんか俺と釣り合ってない気がするんだが、美鈴は俺に常にベッタリな訳で遠目からナンパ師達の刺すような視線が痛い。 「○○さん、楽しんでますか?」 「うんまぁ。それにしても泳ぐのうまいよね」 「えへへ、体を動かすことが好きですから。あ、でも背泳ぎだけは苦手なんです」 「――――そーなのかー」 「?」 いかん、鼻血が出そうになった。あの胸じゃあ水の抵抗が強いからだろうなって何を考えているんだ俺は。 そんなわけないじゃないか。 そうだよな? そうだよね? そうだと言ってよバー○ィ! 「でも○○さんがついてこれないんじゃつまらないです」 「うー、一応泳ぎは得意なんだけど美鈴と比べるとね……」 人間と妖怪の差はこんなところにも。 「うーん、あ! それじゃあ潜水で勝負です! これなら身体能力は関係ありませんから!」 「え? 潜水? 素潜りのこと?」 「そうです! それじゃあいきますよー」 言うが早いか美鈴は水しぶきをあげて水の中に沈む。 俺は慌てて彼女を追いかける。 体が浮かないように気をつける。 数秒しか経っていないのに若干苦しくなる。 少しずつ息を吐いて耐え続ける。 美鈴はというと涼しい顔をしてこっちを見て微笑んでいる。 「……ぅ」 水の中は日の光が揺らぎ、音が遠くに聞こえる。 身体を圧迫する水の感じが心地よい。 「…………、……ぐ、……っ」 ……そろそろキツくなってきた。 でもまだ耐えられる。 だって普段の訓練だって、泳ぎだって美鈴に敵わないのに。 彼女が楽しんでくれているのだからもっとつきあいたい。 美鈴は笑顔のままだ。 まるで陸にいるときとまるで変わらない。 こっちはそろそろ限界だが先にあがることはできない。 美鈴がこんな単純なゲームで喜んでいてくれるのだから一秒でも長く一緒に―― 「――――」 気がつくと美鈴が目の前にいた。 頬に手を添えられ、唇と唇が繋がる。 限界を超えかけた俺に彼女から口移しで空気が送られてくる。 笑顔のまま美鈴が水面へと上がっていく。 困惑したまま、俺も彼女に続く。 「あー、私の負けですね。○○さん凄いです」 「ふぅ、ふぅ……ふぅ。いや俺の負けだろ。だって美鈴が息継ぎしてくれなきゃとっくに浮かんでいたし。 というかなんであんなことしたんだ?」 そう問いかけると美鈴はざぶんと水の中に顔の半分ほど潜ってしまった。 「え、えーとですね。あの、○○さんが辛そうにしていて、それを見ていたら私が助けなきゃ――って思いまして…… あ、あうぅ……恥ずかしいです……」 つまり、限界で苦しんでいるのを見て勝負を忘れて俺を助けたくてあんな事をしたと。 ……嬉しくないわけじゃないが男女逆じゃないのか? 情けないなぁ俺。 美鈴も思いだしたのか、赤面しだして慌てだす。 まったく可愛いなぁ美鈴。そんな顔されたら愛おしくなってしまう。 「じゃ、助けてくれたお姫様にはお礼をしなくちゃね」 「あ、○○さ――」 今度はこちらから唇を塞ぐ。 驚きで目を見開いていたがすぐにトロンとし、瞼を閉じてキスを受け入れてくれた。 「――ぷあっ。○○さん、大胆ですね」 「美鈴ほどじゃないさ」「あややややや! お二人さん熱すぎです! 少しは周りを気にし――はぅっ!?」 水中から防水カメラを持って飛び出してきた鴉天狗は叫びの途中で急に倒れこみぷかーっと土右衛門状態で浮いたままになった。 それをにとりが首根っこを掴んでもう片方の手には何かの玉を持ってスイスイと上手に泳いで運んで行った。 向こうには苦笑いしている●●と顔に手のひらを当ててやれやれといった表情の□□がいた。 「ごめんねー邪魔しちゃって。続きをどうぞー」 ――あいつら、ここに来てたんだ。 「だ、大丈夫かな?」 「た、多分……そうだ、○○さんお腹すきませんか? お昼ごはんにしましょう!」 「ん、いいよ」 売店に向かって元気よく走り出す美鈴。 何かうやむやになってしまったが、まだ喉の奥に美鈴の吐息が残っている気がする。 指を口に当てると、温かく蕩けるように…… 「何だか肩が重いですね」 「水泳は普段使わない筋肉を使うからね……いてて」 「はぁ……すごい瞬間を見たような気がしてたんですけど何故か記憶にないんですよね。カメラも壊れちゃってるし……」 「気のせいだよ、気のせい」 午後からも美鈴といっぱい泳いだ。ウォータースライダーを下り、波のプールで大はしゃぎし、文とにとり達を探してビーチバレーをしたり にとりにバナナボートを引いてもらったりして全力で遊び倒した。 どうやら宿泊先も同じらしくホテルに向かい騒ぎながら歩いて行く。 「みんなで泳ぐことがこんなに楽しいとは思いませんでした。今度夏には湖で泳ぎましょうか」 「それもいいね」 「その時は俺達も誘ってくれよ」 「今度もまたいい記事になりそうなことが起こりそうな気がします!」 「……ちょっとその記者魂少しは押さえたら?」 「無理じゃないかな? 押さえられたら文じゃないと思うし」 陽光の中で笑う美鈴が今でも瞼の裏に焼きついている。それよりもあの水中でのキスが強く鮮明に残っている。 「来年、夏になったら海に行きたいね」 「海ですか? いいですね。見たことないので是非行ってみたいです。帰ったら紫さんに頼んでみましょう」 「すいか割りとかしたいな」 「す、萃香を割るんですか!? □□さんなんて恐ろしいことを!」 「……その萃香じゃなくて果物の西瓜だよ」 「わ、分かってます! ●●さん真剣に取らないでください!」 「いや、あれはマジだったね」 はしゃぐ4人を前に美鈴に指を絡める。 柔らかな手のひらからとくとくと彼女の鼓動が伝わってくる。 「みんなで行くのもいいけど、また美鈴と二人きりでどこかに行きたいな」 あの元気な、太陽みたいな美鈴とずっと一緒に―― 「そうですね。私期待してます。○○さんといつまでも一緒に――約束ですよ」 「おーい、二人とも遅いよー! はやくー!」 お互い顔を見合わせ笑いを交わす。 「くすっ。行きましょうか」 「そうだね」 先に行く4人を追いかけ、帰路につく。 ずっと美鈴と手を握り合わせたまま―― 新ろだ70 ─────────────────────────────────────────────────────────── 八雲紫によって幻想郷全土に発せられた『突撃!隣の外界旅行!(ポロリもあるよ!)』という企画。 もちろん健全な日本男児としてはポロリに反応せざるを得ずに早速参加する旨を伝えるが、 「誰と参加するか決めてからまた来なさいな、後ポロリとかいろいろと嘘よ」と冷たくあしらわれ俺は静かに涙を流した。 「……要するに主人に許可も得ずに飛び出していって、そのうえスキマに門前払いを受けておめおめ帰ってきたのね?」 「ポロリと聞いたらいてもたってもいられずについ……」 紅魔館に帰るとすぐに咲夜さんから、お嬢様がお呼びよと言われたのでしょうがないなぁと思いつつスキップしながらレミリア様に会いに行った。 しかし、待っていたのは、勝手に出て行ったからあんたクビ、という無情な宣告だった。 ここをクビにされたら生きていけないので、得意の話術ともっと得意な土下座とさらに得意な泣き落としを駆使して 一月の給金なしと、半月の晩御飯なしという条件でその場を切り抜けることに成功した。 「というか給料なんてもらったことありましたっけ?」 「ないわね、一度も」 ちょっとひどすぎやしないだろうか? このロリ吸血鬼はもう少し従者を労わる心が必要である。 「それで誰と行くかは決めたの?」 「行ってもいいんですか!?」 なんということでしょう、吸血鬼にも情はあったのです。 「今から庭の雑草全部むしったらね」 なんということでしょう、吸血鬼には情はないのです。 「うーん、久しぶりの都会の空気はまっずいなぁ」 思いっきり伸びをして深呼吸する、結局あの後草をむしりまくり館の外壁の掃除とついでに門までピカピカにした後に ようやく外界行きの許可をもらった。 「噂には聞いていたけど本当に壁と人間だらけ……」 きょろきょろとまわりを見ながら普段のチャイナ服ではなくセーターとジーンズという格好の美鈴がつぶやいた。 「壁? ……ああ、幻想郷に比べたらビルやら何やらいろいろ建ってるからね」 「こっちではこれが木の代わりにこれが生えてるのね、光合成でもするの?」 「しないよ、夜中に光るけど」 へぇー、と美鈴が返事をしてこちらを向く。 「そうそういい忘れてた。ありがとう、誘ってくれて」 「いやこちらこそ、断られたらどうしようかと気が気じゃなかったよ」 「せっかくの○○○のお誘い、断らないってー」 えへへー、と少し恥ずかしそうに美鈴が笑う。 可愛すぎる……どうなってやがるんだちくしょう。 「それでこれから何をするの?」 「とりあえずはショッピング、服とかいろいろ売ってるから、美鈴様のお好きなものをお買い求めください」 「え、でもお金は?」 「紫さんからそれなりにもらったから大丈夫」 「おお! それなら今日は買いまくちゃうわよー」 「ふははは、お父さんとことん付き合っちゃうぞー」 「そして、それが俺の最後の言葉でした」 「え、何?」 「……いえ、なんでもないです……」 わかってはいた、わかってはいたはずなのだが…… 「お、重たい……」 やはり女の子、買い物を始めると恐ろしい勢いで店を巡って行く。 ひとつの店から出るたびに俺の腕にぶら下がっていく紙袋の数は劇的に増えていく。 「あ、見て見て! あの服可愛いー」 本当に楽しそうにはしゃぐ美鈴。それに対し俺は必死に笑顔をつくる。 腕の感覚などとうに無いがそれでもいいのだ、美鈴が楽しければそれで満足だ。 いやそれどころか彼女の笑顔を見るたびに力が湧いてくる。 そうだ、まだ俺は戦える! 「美鈴」 「なぁに?」 「少し休もう」 ……しょうがないじゃない、限界だもの。 「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」 「はい、おねがいします」 とりあえず近くのカフェに入り休息を得た俺の腕。 紫色に変色して痙攣がおさまらないがまだ動くようである。よかった。 「いろいろ買っちゃった、ごめんね荷物持ちさせて」 「これくらいなんともないぜ!なんたって鍛えてるからな」 と言いつつ向かいにいる美鈴に見えないように腕を隠す。この楽しい時間に水を差すわけにはいかない。 「ねぇ、そういえばさっきからいろんな人にジロジロ見られているような気がするんだけど……」 「当たり前だって……」 こんな美人である。誰だって目で追ってしまうだろう、それに先に旅行から帰ってきたカップル達も 『いろんな人達から見られて大変だったよ、HAHAHAHAHA!』と言っていた。 バカップルどもが、幸せになりやがれ。 「当たり前って……何か私おかしい?」 「おかしいんじゃない、美鈴がかわいいからつい見ちゃうんだよ」 「え、いや、ちょ、え? か、かわいいってそんな……」 恥ずかしがってもじもじしている美鈴。それをニヤニヤしながら眺めていると 店員がきて注文したものをテーブルに置いていく。 「いやー美鈴はかわいいなあー」 美鈴の反応を楽しみながら早速注文したコーラを飲む、久しぶりの炭酸はなかなかおいしい。 「よ、よく本人の目の前でかわいいだなんて平気で……ってその腕!」 美鈴がコーラを持っている俺の腕を指差して声を上げる。調子に乗って腕のことをすっかり忘れてた。 まずい、これはなんとか取り繕わねば。 「こ、これは、ほら、あれだよ、俗に言うボディペイントってやつ?」 飛び出した渾身のジョーク。 「いいから、ちゃんと見せて!」 しかしそれをスルーして美鈴が隣の席に腕を見に来た。 少し寂しい。 「ああ、両腕ともこんなにひどいなんて……ごめんね、私が○○○のこと考えずに買いすぎたせいで……」 「いいんだって、今回は美鈴に楽しんでもらうためにきたんだから、何も気にすることは無いぜ?」 「で、でも……そうだ、私がマッサージしながら気を送ってあげる! そうすればすぐに……」 「いやいや! そんなことしたら美鈴が疲れるだろう! 大丈夫だから! 問題ないって!」 「だめよ! ほっといたらもっとひどくなるから!」 「大丈夫だって! うわぁ!」 「きゃあ!」 腕を掴んで離さない美鈴から逃げるために暴れる、だけどそのせいでバランスが崩れて後ろに倒れてしまった。 「いててて……美鈴大丈夫か?」 「う、うん大丈夫だけど……」 「……」 「……」 怪我はなかったが倒れた俺に美鈴が密着しているという 素敵なシチュエーションだという事に気づくのに一秒もかからなかった。 「……ごめんね、楽しくてまわり、見えてなかった」 お互いの顔がとても近い、相手の目から視線をはずすことができない。 「いいんだって、美鈴が楽しければそれで」 「……ありがとう、○○○……」 「どういたしまして」 会話が止まる、だけど俺たちは離れない、離れる気もない。 「……ねぇ、○○○」 美鈴が微笑みながら話しかけてくる。 「私、どこか静かな場所に行きたい」 急なリクエストに少し焦る。 「静かな場所?」 どこかこの辺にそんな場所はあっただろうか? 「うん、そこで○○○と一緒にいたいな」 のりかかったまま顔を近づけてくる美鈴。 「お、俺と……?」 心臓がバクバク鳴っている。美鈴の顔が近づいてくるほど体の密着している面積は当然大きくなっていく。 「そう」 もう美鈴の顔は目と鼻の先まできていてお互いの息遣いがはっきりとわかる。 「大好きな、あなたと一緒に」 ふっ、とお互いの唇が触れ合った。 「な、なんじゃこりゃぁああ!!!」 自分の絶叫が上映会の会場である博麗神社に響き渡る。 「なんじゃこりゃあって、そりゃああなたたちカップルの誕生の瞬間よ」 企画主の紫さんに冷静に返される。まってくれ何がどうなっているんだ!? 「いつの間にこんなものをぉぉぉぉ!?」 「無論あなた達がイチャついてる間に」 こんなの聞いちゃいないぞ何故こんなものがあるんだ!?て、天狗じゃ、天狗の仕業じゃ! いや待てよ、これは盗撮ではなかろうか、そうだ! これは盗撮という立派な犯罪行為である! 「こんなの勝手に撮って犯罪じゃないですか!」 「何言ってるの? 勝手じゃないわよ。企画の応募書に書いてあるでしょ、旅行の様子を撮影して上映するって」 あわててクシャクシャになった応募書に目を通す。……書いてある、ということは俺が知らなかっただけのようだ。 「っていうかこれ、カップルだったりカップルになる予定の人たちが行く旅行だったんですね……」 「あなた、まさかそんなことすら知らずに参加したの……?」 紫さんが心底呆れた、というふうにこっちを見ている。 まわりの旅行帰りのカップルたちからもとてつもなくと冷たい視線が浴びせらる。 「そ、そんな目で俺を見るなぁぁ!」 あまりのいたたまれなさに神社から飛び出す。チクショウ俺が何したってんだ! 「……あんなバカな男であなたいいの?」 咲夜が呆れて美鈴に問いかける。 「ええ、告白しちゃいましたし、それに……」 「あの人のこと、大好きですから」 新ろだ75 ─────────────────────────────────────────────────────────── 青い空に白い雲、陽の光を反射して煌めく湖面と草原の緑。 見事に調和した自然の美の中に、異彩を放つ紅い館があった。悪魔の棲む家、紅魔館である。 その門前には燃えるように赤い髪を風になびかせ、門番である紅美鈴が立っていた。 美鈴は目を瞑り、微動だにしない。しばらくして、不意に頭が前に揺れた。 居眠りである。立ったままという器用な格好ではあるが、居眠りである。 野生の動物が休息を取るように、いつでも活動状態になれる眠り方をしている……ということは全くなく、無防備に寝姿を晒していた。 鼻提灯が出ていてもおかしくないほどの居眠りっぷりだ。むしろ、出ていないのが不自然と言える。 こんな姿を完全で瀟洒なメイド長に見つかれば、美鈴を恐ろしいお仕置きが襲うだろう。 だが天は美鈴に味方したらしく、美鈴は自力で目を覚ました。 「……はっ。いけないいけない、こんなところ見つかったら、咲夜さんにおやつ抜きにされちゃう」 慌てて頭を振り、美鈴は必死に眠気を払う。しかし、こらえきれずにアクビを一つした。 「ふぁ。今さらだけど、門番って退屈よね。そろそろ、あの人が来てくれないかなあ……」 伸びをしながら、一人の男性を思い浮かべる。 時折ふらりと紅魔館の前に現れて、暇つぶしに美鈴をからかっていく青年だ。 いつもからかわれっぱなしの美鈴だったが、一応退屈はしないし、持ってきてくれる菓子の味も気に入っている。 いつしか美鈴は、門前で彼が来るのを心待ちにするようになっていた。 * * * 再び睡魔が美鈴を襲い始めた頃、紅魔館に一人の来客があった。 だが、美鈴の望んだ客ではない。 いや、客ですらなかった。普通、図書館に襲撃をかけて、持ち主に無断で本を死ぬまで借りていく相手を客とは呼ばないからだ。 それは普通の魔法使い、霧雨魔理沙だった。美鈴の天敵であり、最悪の賓客だ。 美鈴は表情を引き締め、迎撃の態勢を取った。 「また来たわね。今日こそは、中には入れさせないわよ」 「さて、その台詞を聞くのは何度目だったか。今まで食べたパンの枚数を憶えてる私でさえ、憶えていられないぜ」 先の尖った黒い帽子の広い鍔を指先で持ち上げ、魔理沙は挑発するように笑った。 負けじと、美鈴も猛禽のごとき眼光で魔理沙を射る。 二人の気迫にかき消されたかのように、風が凪いだ。 それが弾幕決闘開始の合図であった。 * * * 紅魔館へ向かう道のりを、一人の青年がテクテクと歩いていた。 いつもの場所にいるであろう門番の姿を思い浮かべ、青年は楽しげに独りごちる。 「この寒空の下、今日もアイツは元気に門前に突っ立ってるのかね」 青年は右手に風呂敷包みを、左手には取っ手の付いた木箱を携えていた。 ややあって、青年の視線の先に白い光が映った。続けて、鼓膜と肌を震わす空気の振動。爆音だ。 そして、紅魔館から魔法の森の方角へ、青年の頭上を魔理沙が飛び去っていった。 突然の爆音に驚きもせず、左手の木箱を胸の前に掲げ、青年は肩をすくめた。 「やれやれ。念のために持ってきては見たが、こんな物、役に立たない方がいいんだがな」 鼻から息を吐き出し、青年はわずかに歩を早めた。 * * * 青年が紅魔館にたどり着くと、人影が地面に大の字で転がっていた。 服のあちこちに焼け焦げと破れを作り、目を回して引っ繰り返っているのは美鈴だった。露出した肌にも、いくつかの擦り傷や火傷が見える。 その様子を見て、青年は魔理沙が“マスタースパーク”で美鈴を吹っ飛ばしたのだと推測した。 ただし直撃ではなく、余波のあおりを食って地面に叩きつけられたのだろう。直撃ならば、もっと酷い負傷のはずだ。 青年は美鈴に近寄り、しゃがみ込んで声を掛けた。 「起きろ、中国。風邪引くぞ」 「中国ってゆーな!」 即座に身を起こし、半ば反射的に美鈴は叫んだ。 片手をあげ、青年は目を覚ました美鈴に軽く挨拶をする。 「よう。今日はまた、豪快な居眠りだったな」 「違いますよ! どんだけダイナミックなんですか、私!? 倒れてたんです!」 さもありなんと、青年は頷く。 「だろうな。どうせ、いつものようにあの黒白にやられたんだろ?」 どうせ。いつものように。その言葉が美鈴の心にチクリと刺さった。 「いつものように、とか言わないで下さい。私だって、気にしてるんですから……」 「そいつは失礼」 美鈴が表情を翳らせるのも無理はなかった。なにしろ、魔理沙には全戦全敗なのである。 紅魔館に襲撃をかけようなどという物好きは他にいないため、実質的に美鈴は侵入者を全て通してしまう、案山子同然の門番だったのだ。 落ち込んだ美鈴に向かい、青年は口を開く。 「そんなことより、傷の手当てをしないとな」 「大丈夫ですよ、このくらい。ツバでもつけとけば……」 今、下手に優しくされたら、憐れまれているようで余計に落ち込んでしまいそうだ。美鈴は丁重に断ろうとした。 青年はニヤリと笑う。 「ほう、そうかい。俺ので良ければいくらでもつけてやるが」 「ヤですよ! 分かりました、ちゃんと手当てしますから。だから、その舌を引っ込めて下さい」 本気で体中を舐め回されそうなので、美鈴は大人しく従うことにした。 舌を引っ込めて満足げに頷くと、青年は木箱の蓋を開く。それは、薬箱だった。 「よろし。それじゃ、傷になってるところを見せてみな」 袖を肘のすぐ下までまくり上げ、美鈴は言われたとおりに傷を見せた。 青年は美鈴の傷口を洗い、膏薬を塗って包帯を巻いたり、綿布を貼り付けたりしていく。 慣れた手つきで処置を終え、青年は言った。 「これでよし、と。中国、その包帯、よく似合ってるぜ……」 「全然嬉しくないんですけど……。それはそうと、よく薬箱なんて持ってましたね」 「ま、こんなこともあろうかと思ってな」 つまり、美鈴と魔理沙がぶつかり合うだけでなく、その結果、無残に美鈴が敗北することまで予想していたのだ。 ちょっぴり尖った優しさが、美鈴の心にサクッと刺さった。 「……手当てしてもらったはずなのに、なぜか傷ついたんですけど」 「ツバでもつけとけ」 くっくっと喉を鳴らして笑いながら、青年は薬箱の蓋を閉めた。 一見して馬鹿にしているように見えるが、あまり真剣に心配すると美鈴が気に病むと考えてのことだった。 下手に優しくされると余計に落ち込みそうな美鈴だったが、優しくされた気がしなかったので、落ち込むことはなかった。 だが、少しばかり思い詰めた表情をしている。 膝を抱えて座り込み、ボソリと美鈴は言った。 「いつもいつも門を突破されて、門を守れない門番なんて、必要ないですよね……。 私、ここにいる意味あるのかなあ……?」 瞬間、緩みっぱなしだった青年の表情が引き締まった。真面目と言うより、不愉快と言った風な表情だ。 何をくだらないことで悩んでるんだ。俺はそんな辛気くさい面を拝みにわざわざ来たんじゃないぞ。 そんなことを考えながら、仏頂面の青年は美鈴の前に立った。 ふと、視線を上げる美鈴。 青年はゆっくりと、美鈴の顔に手を伸ばした。 そして。 「あ、痛っ!」 美鈴の眉間に手刀を喰らわした。軽く打ったどころか、手を振りかぶっての手刀だ。 当然、美鈴は抗議の声をあげた。 「いきなり何するんですか!」 「寝ボケたことを言ってるから、目を覚ましてやろうと思ってな」 「……?」 青年の意図するところが分からず、美鈴は怪訝な顔をする。 青年はあきれて言った。 「お前さんがここにいる意味があるか、だって? 無かったらとっくにお払い箱だろうが」 「でも私、失敗ばっかりで……」 「ま、確かに門番としちゃあ頼りないけどな。お前さんの価値は他にあるってことだ」 「私の、価値……?」 門番として以外の自分の価値とは何だろうか。美鈴は必死に考えを巡らす。 「うーん……。庭の管理、とか?」 「それもあるな」 どうやら違うようだ。さらに考えていると、美鈴は一つの重大な答えに突き当たった。 「……は、まさか! 私がいなくなるとイジられ役が咲夜さんに集中するから、その身代わりとして……!?」 「それもあるな」 冗談で言ったのに。ガクリと膝を折り、両手を地面につく美鈴。 与太を飛ばせるくらいに元気が戻ったことを密かに喜びつつ、青年はやれやれとかぶりを振った。 「自分で言ったクセに」 「うぅ。少しくらい、否定してくれたって……」 「はいはい。中国はイジられ役じゃありませんよっと。……イジりやすいとは思うが」 「あうぅ……」 ほんのちょっとだけ美鈴が可哀想になり、青年は話を本題に戻すことにした。その可哀想の大半は自分のせいなのだが。 珍しく真面目に、青年は語った。 「要するに、だな。美鈴と一緒にいると、楽しいんだよ。和むと言うか、場が明るくなると言うか。 みんなお前さんのことが好きだから、お前さんをここに置いてるんだろうさ。役に立つとか立たないとか関係なく」 嫌みのない表情で、青年は歯を見せて笑った。 「仲間とか友達とか、そういうもんだろ? 少なくとも、俺はそう思うぜ」 紅魔館のみんなが自分を必要としてくれている。そう聞かされて感に堪えず、美鈴は言葉に詰まった。 少しだけ笑顔を意地の悪いものに変え、青年は美鈴の肩を叩く。 「ま、そう言うわけだから、お前さんはくだらないことで悩んでないで、ここに突っ立ってニコニコしてりゃいいのさ」 帽子の上から美鈴の頭にポンと手を置き、青年は美鈴の隣にドスンと座った。 目の端に浮かんだ涙を拭い、美鈴は嬉しそうに笑った。 「やっと笑いやがったな。そうでなきゃ、わざわざここに来た甲斐がないんだよ」 言い方は悪いが、要は美鈴の笑顔が見たくてここに来ていると言っているのだ。 青年は素直ではなかったが、美鈴にはそれが確かに伝わっていた。 「えへへ……。あなたに話を聞いてもらえて、本当によかったです。 私、あんまり気兼ねなく話せる人っていないから」 「下っ端だからな」 たまに優しさを見せたと思えば、この言い草だ。美鈴は唇を尖らせた。 だが、その顔に怒りは微塵も感じられなかった。 「もう、すぐにそういう言い方するんだから」 「悪いが、性分だ」 多分、この性格が治ることは一生無いんだろうなと、美鈴は思った。だが、それがどうだというのか。 紅を差したように赤らんだ頬で、美鈴ははにかんだ。 「でも、そんなところも好きですよ」 「……そいつは、どうも」 美鈴の告白にぶっきらぼうに答えると、青年は美鈴から視線を外した。 おそらく、わずかなりとも赤らんだ顔を見せたくないのだろう。あまりにも素直な思いをぶつけられて照れているのだ。 可愛いところがあるじゃないですか。 愛想の欠片もない青年の横顔を、美鈴は愛おしく思った。 * * * 「そう言えばさっき、私のこと美鈴って呼びましたよね」 「さて、どうだったか。記憶にないな」 「呼びましたって」 「知らないっての」 「むぅ。間違いなく言いましたよ。絶対に、もう一度名前で呼んでもらいますからね」 「俺が名前を呼び捨てにする女は、妹と嫁だけなんだよ」 「妹さん、いるんですか?」 「いないけど」 「意味もなくくだらない嘘をつかないで下さい! ……とにかく! そういうことなら、絶対に、絶対に名前で呼んでもらいますからね」 目に思いっきり力を込めて、美鈴は宣言した。 青年は鼻で笑う。 「へ。やってみな」 やる意味はないけどな、と心の中で呟く。 その隣では美鈴が両の拳を握りしめ、無意味とは知らずに気合いを入れていた。 [後日談] 久しぶりの休日。 紅美鈴は少しばかりめかし込み、一人の青年とともに人里の繁華街へと繰り出していた。 隣を歩くのは、友人以上ではあるが、主に相手のせいで恋人にはわずかに届かない存在。さしずめ、相方か相棒と言ったところか。 その相棒の腕をとり、美鈴は表情から幸せを溢れさせていた。 手を握るとか、腕を組むといった腕の取り方ではない。高級な酒の瓶を抱えた丁稚のごとく、絶対に離してなるものかという勢いで右腕を抱きしめている。 対する相棒の青年はと言えば、表情から不機嫌さが溢れ出していた。 二人を見る好奇の視線、嫉妬の視線、微笑ましげな視線。そのどれもが青年にとっては鬱陶しくて仕方がなかった。 この世に光が存在することを怨みつつ、青年は言った。 「……なあ、動きにくいんだが」 「気にしないで下さい」 声を弾ませて、美鈴は青年の発言を一刀両断に切って捨てた。 腕に当たる柔らかな、弾力のある人肌の感触に気まずいものを感じつつ、青年は再度口を開く。 「……当たってるんだが」 「当ててますもん」 青年の発言は十文字に切って捨てられた。次は八分割になるかもしれない。 三度、青年は口を開いた。 「……何でまた、今日はやたらに引っ付いてくるんだ?」 「引っ付きたいからです」 見事に八分割である。次は十六分割かと思われたが、美鈴は言葉を続けた。 「それに、こうすればあなたが照れて嫌がるかと思って。今までの意地悪のお返しです」 ニコニコと嬉しそうに美鈴は言った。声の端々には余裕が見て取れる。慣れというものだろうか。 まさに美鈴の言うとおり、青年は照れて嫌がっていた。だが、見事な読みだと感心するつもりは毛頭無い。 青年は口の端を吊り上げ、奥歯を噛み締める。そのギリギリという音が、美鈴の耳にも届いた。 「……言うようになったじゃないか」 「意地悪な誰かさんに鍛えられましたから」 「そいつの顔を拝んでみたいもんだな」 「はい、どうぞ」 悪戯っぽい笑みを浮かべ、碧眼を煌めかせて美鈴は青年の顔をじっと見つめる。 何のつもりかと訝る青年に、美鈴は説明した。 「その人の顔、私の眼に映ってますから。存分に拝んで下さい」 そんなことをすれば、真っ昼間の街中で見つめ合うことになる。それではまるっきり頭の中がお花畑の男女ではないか。 冗談じゃないとばかりに、青年はさっさと歩き出した。 「くだらないことで時間を取ってないで、とっとと次に行くぞ」 「あ、逃げた」 「うるせ」 先に歩き出した青年を追いかけ、美鈴は再びその腕をとった。 青年はそれをジロリと見たが、何も言わない。 「そうですね。お休みは短いんだから、どんどん行きましょうか!」 「で、次はどこに行くんだ?」 「ええと、次は甘いものでも食べましょうか」 「あいよ」 手頃な甘味処を目指し、二人は歩き出す。 「寒いから私はお汁粉が食べたいなあ。何食べます?」 「お前さんと違うものなら何でもいい」 二人仲良く揃って同じもの、なんてやって堪るか。 青年はそう考えたが、美鈴の方が一枚上を行っていた。 「じゃあ、二人で別々のものを頼んで交換しましょうね。私、食べさせてあげますから」 青年の表情が、口いっぱいの苦虫を噛みつぶしたようなものになった。 そこまで嫌ならば突っぱねればいいものを、青年は全て、美鈴のしたいようにさせていた。 おそらく、甘味処でも嫌な顔をしつつ、自分に匙を向ける美鈴に向かって口を開けるのだろう。 嫌がるそぶりを見せつつも、甘えてくる美鈴を振り払わないその態度は、誰がどう見ても恋人のそれだった。 脈絡無く、美鈴は言った。 「えへへ、大好きです!」 「ああ、俺もだよ」 「え! 本当ですか!?」 「嘘に決まってるだろ。からかったんだよ」 口元を歪めて、楽しそうに青年は言った。 どこまでも素直でない男だったが、それでいて実は優しい彼のことが美鈴は心から好きだった。 新ろだ268 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「美鈴、貴方暫く休みね」 「……はぁ」 いつものように門番をしていた美鈴は、レミリアに突然呼び出されて突然の休暇宣言に生返事を返した。 というかこの子、何を言われたのかまだ理解してません。 「それじゃあ、仕事に戻りますねお嬢様」 「貴方、私の話を聞いてたの?」 「はい」 「休みと言ったのよ、私は。いつも働いてくれている美鈴に、少し休んでほしいの」 倒れられても困るじゃない、とレミリアは照れくさそうに言う。妖怪である美鈴は体力も人間を遥かに 越えているが、それでも疲れというものはある。レミリアがふと門を見れば、そこにはいつも美鈴の立つ 姿。朝昼晩を問わず、そこには美鈴の姿があるのだ。 そりゃ心配にもなる。 「……あぁ、休みですか」 ようやく納得がいった表情で、美鈴は自分の休暇を知る。休みという概念が完全に頭の中から抜け落ち ていたらしい。門番中にたまに昼寝をして、咲夜に叱られる美鈴だが休みらしい休みはあまり取ったこと がない。精々、門番隊の者と交代した時ぐらいか。 「やっと分かったの? とりあえず今日から一週間ぐらい休みなさい。その間、何をしててもいいから」 「えーと、別に休まなくても私は大丈夫で」 「いいから休みなさい。というより、休め」 そんなわけで、美鈴は門番の仕事を取り上げられた。突然降ってわいた休暇に、美鈴は戸惑いを隠せな い。自分の仕事場に向かってみると、門番隊の仲間が数人で立っている。自分も混じろうかな、と思った がそうすると後が怖い。 きっと笑顔で威圧される。 (どうしよう。休みって言われても何をすればいいのか) 困った顔で門を見つめ続ける美鈴。一週間ぐらい休め、とは言われたもののやることがない。釣りにで も行こうかとも考えたが、気が乗らない。はぁ、と美鈴はため息をついた。 (昼寝でもしようかな……あ、そうだ) 良いことを思いついた、とばかりに紅魔館を後にする。向かうのは上白沢慧音が守護者をしている幻想 郷唯一の人里。ふんふんふんと、鼻歌をしながら美鈴は人里への道をゆっくりと歩いていく。 「と、いうわけで遊びに来ました」 「何がというわけやねん」 笑顔で訪ねてきた美鈴に、家の主である○○は寝起き顔で突っ込みをいれる。その顔も可愛いなー、と か思ってる美鈴。 この○○、一年ほど前に外の世界から幻想郷へと迷い込んで住み着いた外来人だ。その彼が美鈴と知り 合った経緯については、ここでは割愛する。 「朝っぱらから訪ねてきおって、人の睡眠邪魔するとはええ度胸やん」 「もう昼ですよ」 「俺にとっては朝やの。昼まで寝るんが俺のスタイルや」 ぼさぼさの髪を井戸から汲んできた水で梳かしながら、○○は独特の喋り方で美鈴と話す。関西地方出 身なのは間違いあるまい。 「まぁええわ。で、なんやねん」 「ですから、お嬢様に急に休めと言われたので、遊びにきたんですよ」 「休暇か、美鈴んとこのご主人も中々部下思いやな。その調子で俺のことも大事にしてくれると、非常に 嬉しいよ?」 主に俺の為に、と付け足す。それに苦笑を返すしか出来ない美鈴。○○はたまに紅魔館を訪ねてくるこ とがあるのだが、その度にレミリアに吸血されて貧血になる。レミリアいわく、○○の血が美味しいから らしいのだが、吸血される方はたまったものではない。 彼が紅魔館にくるのは、パチュリーの図書館で本を読むため。で、レミリアに吸血され貧血になった後 は必ず美鈴に人里まで送ってもらう。 「ま、遊びにきたんなら歓迎するわ。つっても、なんも面白いもんはないけど」 「いえいえ、○○さんと一緒にいられたらそれでいいですよ」 「恥ずかしくないんか、そんな事言って」 「……少しだけ」 顔を紅く染めて笑う。それを見た○○も、照れくさくなってそっぽをむく。何をするでもなし、二人は 他愛もない世間話で時間を潰す。人里でこんなことがあった、レミリアのカリスマが急上昇した、フラン がそれをブレイクした、パチュリーがラジオ体操をはじめた、咲夜が新しい紅茶を開発した、など。 高く上っていた日は沈み、辺りは暗くなる。そろそろお開きか、と○○は判断し立ち上がる。 「どうしました?」 「いや、どうしたも何ももう日が落ちたし、お開きや。美鈴も帰るんやろ?」 「あー……そーですね」 煮えきれない返事だが、○○は気にせず夕食だけでも食べていけと言って、準備に取り掛かる。たいし たものは作れないが、文句は言わないでほしいと切に願う。一人暮らしをしているからと言って、家事能 力があがるわけではないということを悟ってほしい。 夕食後、風呂も入ってもらい美鈴と別れる。幻想郷にはテレビやゲームといった娯楽用品がない。夜に やることがないので、自然と寝入るのが早くなってしまう。それはこの一年ほどで身に染みるほどに理解 している○○は、ゆっくりと眠りについた。 家の扉の前に立つ気配に気付かず。 翌日。○○は日が高く上ってから起きだす。意識がまだぼーっとしているのを自覚しながら、外に繋が る唯一のドアを開けた。外に出て目に入ったのは、壁に寄りかかって眠る美鈴。特になんのリアクション も取らず、○○は井戸から水を汲み上げる。冷たい水で顔を洗って、意識がだんだんと覚醒して○○は水 の入った桶を持ち上げる。 それを美鈴に向けてぶっかけた。 「ぷぁっ、さ、寒い!? な、なんですか!?」 「何しとんねん人の家の前で。帰ったんとちゃうんか」 「いえ、暇だったので○○さんの家の門番でもしようかと」 「意味わからん。必要ないやろ」 「えっと……ごめんなさい。なんというか、門番の性分かこうやってないと落ち着かなくて。紅魔館に戻 っても門番できないですし」 申し訳なさそうに指をつんつん。門番をしてないと落ち着かないとは、とんだワーカーホリックな妖怪 もいたものだ。 「で、俺の家でやっとったと」 「○○さんなら、許してくれるかなーって」 舌を出して笑う美鈴は可愛いらしいと思う。仕事熱心なのはいいのだが、それなら門番中に居眠りなど しなければいいのにと○○は思う。 シエスタだから仕方ない。 「まぁええけど、なんも問題なんかおきへんと思うよ」 「いいですよー。○○さんの家の門番、って考えると楽しいですし」 「物好きなやっちゃ」 ただ帰れないだけなら、家にいれてもよかったのに。そう思ったが、口には出さない○○。言えば多分 恥ずかしさで悶絶する。くさい台詞は仕入れていないので提供できない。 「昼飯いるやろ。はいり」 「いただきます」 昼食もすませ、美鈴は再び家の前に立つ。○○もそれに付き合い、美鈴の横に座り込んで時々話しかけ ては無言になる。まだ肌寒い季節、美鈴はあんな格好で平気なのかと○○は疑問に思う。 そんな○○の格好は、厚めのガウンジャケットにジーパン。これでも少々寒いぐらいだが、不思議と美 鈴の横にいるだけで暖かく思える。 (なんやろ、やっぱ美鈴と一緒にいると落ち着くわ) 太陽の光を浴びた向日葵のような暖かさ。それを感じながら、○○の意識は闇へと落ちていく。 「○○さん?」 美鈴が何も言わなくなった彼を見ると、家にもたれかかって静かに寝息を立てていた。あんなに寝てい たのにまだ寝るのか、と呆れる。彼女も人のことは言えない。 しゃがみこみ、○○の横に座る。ちらっと目を向ければ、無防備な寝顔。 「むぅ、一応私妖怪なんだけどな」 今更だ。 「……あは、可愛い寝顔」 ほわっと美鈴の胸の中が暖かくなる。外は寒いが、体まで暖かい。美鈴も家の壁に背をもたれさせ、 ○○の肩にこてんと頭を乗せた。 普段は恥ずかしがって、引っ付かせてくれないのでこういう時にするしか手がない。彼女としてはいつ でもくっついたりしてたいのだが、門番としての仕事もありそれは叶わない。今こうして○○とくっつい ていられるのは、レミリアの休暇のおかげ。 美鈴は改めて、自分の主人の気遣いに感謝した。もっとも、レミリアはただ単に美鈴に休みをとってほ しかっただけであり、こんな気遣いをした気は毛頭ない。 「~♪」 楽しそうに美鈴は笑う。すりすりと顔を肩に擦りつけ、マーキングでもするかのよう。その様子は飼い 主に甘える犬。寝顔を眺めていた美鈴だが、我慢できなくなったらしく○○の顔を少し起こし無防備な唇 にキスをする。 「ん~♪」 実に楽しそうだ。何度も啄ばむようにキスを重ね、さらに我慢できなくなり美鈴は舌を少しだけ○○の 中に侵入させる。流石に自分の口に中への侵入者に気付いた○○は、目を開け至近距離に美鈴の顔がある のに気付くと驚き、さらにキスされていることに気付き二度驚く。そしていつの間に寝てたんだと三度の 驚き山椒の木。 「んっ、むぅっ」 「むーっ」 恥ずかしさで離れようとする○○だが、美鈴はそれを許さずさらに深く口付ける。言っておくが今はま だ昼間であり、彼女達がキスを交わしている場所は家の外。人里の中である以上、人に見つかる可能性は 高い。それゆえに○○は離れたがっているのだが、美鈴からすれば見られて上等。寧ろ見せつけてやると も言わんばかりの勢い。 博麗の巫女もきっとこの光景を目にすれば砂糖生産も容易に違いない。きっと甘さで糖尿病。 「んぅっ」 最終手段として○○は、美鈴の胸を掴んで揉む。体に走る快感に思わず美鈴は震え、その隙に○○は顔 を離す。あーと残念そうに美鈴。 「おま、人が寝てる隙に」 「えー、だって○○さんの寝顔見てたら我慢できなくて。てへ」 「てへ、やあらへん。こんな外でしとったら見られるやろ。恥ずかしさで死ぬわ!」 「大丈夫ですって。次第に慣れてくればそれが快感に」 「ならんっ! なるかっ! なってたまるかっ!」 尚くっついてくる美鈴から逃げ、○○はため息をつく。別にキスすることが嫌なのではなく、本当に人 の視線にさらされるのが嫌なのだ。彼には見られて興奮する性癖はない。美鈴も……きっとないと信じた い。 一人でも見られてしまえば、きっと彼は人里を暫く歩けない。積極的な美鈴と、消極的な○○。カップ ルとしてはいい相性なのだろうが、なにぶん美鈴の積極性は手加減を知らない。 「とりあえず、外ですんのはやめれ」 「じゃあ中でならいっぱいしていいんですね!?」 「そういう意味ちゃうわ阿呆! って、人を抱き上げるな!」 「えへへへへへ、今日も門番するつもりなので、○○さんに元気もらいます」 おろせと喚く○○の言葉をスルーし、美鈴は笑顔で家の中に入る。仮にも妖怪、男だとしても人間相手 に力負けするわけはない。○○の家のドアが閉まり、その中から ※この先を見たい場合は、紅魔館の門前まで行きPAD長と叫んでください。 一週間後、美鈴は休暇を全力で楽しみ再び紅魔館の門前に立つこととなった。戻ってくる際、○○に元 気をくださいといって迫ったのはいうまでもない。最後なので回数は多かった。何の回数かは明言しない。 しかしあえていうなら、○○のスペルカードが何枚もブレイクしたとでも。 「うん、今日も良い天気」 相変わらず外は寒いが、日差しは暖かい。吸血鬼にとっては疎ましい天気だが、美鈴が世話をする花達 にとってはいい栄養になる。 「えへへ、○○さん可愛かったなぁ」 何を思い出したのか、人が見れば引くような顔で笑う。それをたまたま目撃した門番隊の妖精が隊長が 壊れたーと叫んで飛んでいったが美鈴は気付かない。彼女の頭の中には、涙目で許しを請う○○の姿が映 し出されているから。 そんな事実はなく、美鈴の中で都合の良いように記憶が改ざんされているだけだ。迫る美鈴に○○が怯 えていた、というのは事実だが。 「あら、美鈴。ずいぶんと機嫌がよさそうね」 「あ、咲夜さん。どうしたんですか?」 「別に。それで、休暇はどうだった?」 昼寝をしてさぼっていた美鈴をお仕置きしていた咲夜だが、彼女も多少なりとも心配していたらしい。 「はいっ、楽しめました。いやー、好きな人と一緒にいるだけでも癒されますね」 「あぁ、○○の所に行ってたの?」 「えへへへへ、○○さん凄く可愛かったですよ。思い出しただけで……」 にへら、っと笑いをこぼす美鈴に引く咲夜。何があったのか気になるところだが、多分聞かない方がい いと彼女の勘がいう。 「ま、まぁいいわ。それじゃ、ちゃんと門番しなさいよね。寝てたりしたら、また殺人ドールの刑よ」 「は、はい。勿論です!」 ナイフで刺されちゃたまらんとばかりに、美鈴はびしっと門前に立つ。それを見届け、咲夜も自分の仕 事をするべく館内へ戻る。 紅魔館は今日も平和である。 新ろだ274 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「ただいまー」 大寒も過ぎて後は春を待つばかり、とは言え依然として寒い中、我が家の扉をくぐる。 とたんにぱたぱたと小走りに駆けてくる足音が聞こえた。 「おかえりなさい! 寒かったでしょう?」 靴を脱いで顔を上げると、いつものように暖かな笑顔の美鈴。 立ち上がって廊下に一歩踏み出すと、 「じゃ、いつものおまじないです♪」 俺の両手が美鈴の両手に包まれる。 じわり、じわり。 凍えた手の感覚が戻って行く。 寒い季節になると毎日行われる我が家の儀式。 と言うと大げさなのだが、美鈴は飽きもせず続けている。 その内にあったまるからと言うのだが、 『頑張ってる旦那様のためですから、これくらい当たり前です』 などと、照れもせずに言うのだ。 そのたんびに俺はドキドキする。 「今度はあなたから、おまじない…して下さい♪」 そう言うと美鈴は目を細め、顎を上げる。 手は握ったまま。 そして桜色の唇を薄く開き、その時を待っている。 「んっ…」 最初はふんわりとした、鳥が啄むようなキス。 回数を重ね、互いの唇の暖かさを確かめていく。 「ふふっ、やっぱりドキドキしますね」 何度目かの軽いキスの後、美鈴は悪戯っぽく微笑むと再び顔を上げる。 「俺だってドキドキしてるよ。可愛い嫁さんとキスしてるんだから」 返す刀でキスを再開する。 目を閉じ、全ての感覚を唇に集中させ、互いの息が続くまで重ね合わせる。 大抵は俺が先に息を切らせてしまうのだが。 「は…ぁっ」 上気した頬、唇、瞳に艶が乗っている。 ああ、可愛いなぁ。やっぱり。 「お邪魔するわ」 「わひゃぁい!?」 唐突な声にびっくりして後ろを向くと、紅魔館のお嬢様が立っていた。 「あ、お嬢様、どうされました?」 俺の手を握ったまま、全く動揺していない美鈴が呼びかけた。 「ええ、今夜は予定もないし、ちょっと思い出した事もあってね」 どこか含みのありそうな緩んだ表情。 「ま、手ぶらっていうのもなんだから、はい」 渡されたのは焼酎の一升瓶。 見るからにかなりの上物だ。 寒い日に食べる鍋物は格別だ。 そして今夜は来客と共に軽く呑みながら囲んでいる。 「それにしても、わざわざこちらへなんて珍しいですねぇ」 「何言ってるの。あなたたち、今日で1年でしょ?」 あ。 二人まったく同時に出た一音。 別に忘れていたわけではないのだが、そう言えばそうだったなと。 それを聞いたレミリアは呆れ顔。 「まったく… いつまでも新婚気分なのもいいけど、せめてその日くらいは心に留めておきなさい」 「あはは… あ、それで、さっき言ってた『思い出した事』って?」 「あの“宴会”の事よ」 あー、そういやあれから美鈴との仲が一気に縮まったんだった。 とは言え、その時の事は良く覚えていなかったり。 そんな雰囲気を見て取ると、含みを通り越したニヤニヤ顔をするレミリア。 普段の彼女を知る身としては、こういう表情もできるのかと少し驚く。 「ちょうどいい機会だから、あの時の一部始終を話そうと思ったのよ」 そう言うとコップを空け、訥々と話し始める。 その内容は、以下のようなものだった─── ======================================== いつものように人妖入り交じった博麗神社での宴会。 今回はそこに俺と、まだそんなに仲がいいというわけではなかった美鈴もいた。 俺はすでに美鈴に恋心を抱いていたのだが、どうしても最後の一歩を踏み込めずにいた。 そのモヤモヤを振り払うように慣れない酒を最初はちびちびと、そしていつの間にかペースが上がり、すっかり酔っぱらってしまっていた。 そこへやってきた館のお嬢様。 さすがにアルコールの許容量が段違いなのか、まだまだ素面と言っても良かった。 「あら、ずいぶん出来上がってるわね」 「あー、お嬢様、今日は月が綺麗ないい天気れすよー」 ぺこりと頭を下げ、空を見上げた。 「…そうね。ほら、美鈴、ちょっと来なさい」 「んー? 美鈴?」 俺は少し千鳥足でやってきた美鈴を見て言った。 「ほら、美鈴、足が危ねぇぞぉ」 「何言ってるんれすか、これくらいまだ大丈夫れしゅー」 「お前こそ何言ってるんらよ、フラフラしてるりゃねーか」 ゲラゲラ笑う俺にちょっとムッと来たのか 「ほりゃっ」 コップを俺に突き出した。 「お? まだ呑めってか? おう、呑んでやりゅよ」 言うが早いか出されたコップを奪い取って中の液体を飲み干していく。 「おー、見事見事♪」 かんらかんらと笑う美鈴。 その笑顔が俺に火を付けたのかもしれない。 「なー、美鈴ー?」 「んー? なんれしゅか?」 「俺はなー、美鈴に惚れてるんだよぉ」 「あははは、私に? 惚れてりゅんですかー?」 「ああ、ずーっと前から惚れてるんだよぉ。けどなぁ、中々言い出せなくってさぁ」 「えー? 普通に言ってくれればいいじゃないれすかぁ」 「言えるわけねぇだろー」 「いや、言ってくらさいよー」 「だから言えねぇってば」 「気になるじゃないですかぁ」 その時の俺は、盛大に、完全に、これ以上なく酔っぱらっていた。 そんな状態での思考回路は当然ながらマトモではない。 「しつけぇなぁ、言えねぇったら言えねぇの!」 少し言葉に棘が出てしまう。 こうなってしまうと、後は売り言葉に買い言葉。 「そんな言い方ないれしょう! お姉さんに全部話しなしゃい!」 「俺より若く見えるくせにお姉さん言うな!」 「残念でした、あなたよりずーっと年上れすから!」 「だからだよっ!」 そのとたん、俺の中で何かが弾けた。 「俺は人間で! 美鈴は妖怪っ! どうしたって俺は美鈴より先に逝っちまう!」 狂ったように声を絞り出す。 「だから俺は美鈴の事がどんなに好きでも、一緒になるわけにはいかねぇんだ!」 もう自分が何を言っているのか、わからなくなってきていた。 「美鈴を悲しませちまうから! だから! 俺は美鈴とは! 美鈴とは…っ!」 気づけば、俺は泣いていた。 なぜか酔いも醒めていた。 顔を真っ赤にして、涙でぐちゃぐちゃになって、手にはコップを握りしめたまま。 「だから、なんなんですかっ!」 一際大きな、凛とした声。 俺の目の前に美鈴の顔があった。 「いつだったか、あなたは自分の事をこう言いましたよね? 莫迦だ、って! 不器用だ、って! 卑屈だ、って!」 いつもの朗らかな表情は崩れ、眉は釣り上がり、眉間に皺まで寄せている。 「それがどうした! 本当じゃねぇか!」 「冗談じゃありませんよ! あなたはいつも真っ直ぐじゃないですか! 丁寧じゃないですか! 誰にでも優しいじゃないですか! しばらく見てれば私じゃなくたってわかります!」 俺を見据えた深く蒼い瞳の中に、ギラギラした炎が見えたような気がした。 「人間だとか妖怪だとか、そんなの関係ありません! 私もあなたが好きなんです! どこまでも真っ直ぐなあなたが好きなんですっ!」 言うやいなや、俺の頬を両の手の平で包み込み───キスをした。 閉じられた瞳、長く綺麗な睫毛、そして暖かな唇。 さっきまで荒れに荒れていた俺の心に、風が吹き込んだ。 それはどこまでも柔らかく、とてもやさしい風。 いつしか俺は美鈴を抱きしめていた。 俺は莫迦だ。 美鈴の言うとおりだ。 今日、この時まで自分で全て抱え込んでいた。 けれども、もう考える必要なんて、ない。 「美鈴」 「…はい」 抱きしめている腕により力を込めて言う。 「俺の最初を奪った責任、取ってくれよ?」 一瞬、美鈴は面食らったような顔をしたが、 「私の最初を捧げた責任、取って下さいね?」 満面の笑顔。 もう迷わない。 今度は自分から、美鈴と唇を重ねた。 周りはやんややんやの大喝采。 ======================================== 「とまぁ、こんな感じだったわ」 俺はあまりの恥ずかしさに、コップの酒をあおった。 一方、美鈴はニコニコしながら 「実は…あの少し前から、そうなんじゃないかなーって思ってたんですよ」 「へっ?」 思わず間の抜けた返事をした俺に 「いつか言ってくれるかなぁ、って思ってたんですけど、なかなか言ってくれないから」 悪戯っぽく笑って言った。 「お嬢様にセッティングしてもらったんです♪」 おいおい。 参ったねこりゃ。 「さて、ずいぶん邪魔しちゃったわね」 お嬢様は立ち上がって玄関へ。 そして俺たちの方を向いて一言。 「それじゃ、ごゆっくり」 二人で頭を下げ、見送る。 ほぅ、と息を吐く。 「なぁ、美鈴」 「なんですか、旦那様?」 俺はニヤリと笑って 「なんでもないっ!」 美鈴の頬にキスをして、居間の炬燵までダッシュした。 新ろだ283 ─────────────────────────────────────────────────────────── ある暖かい冬の日。 小春日和と言うには少し遠いが、柔らかい日差しと風がないおかげで、猫が縁側に出る程度には暖かかった。 そして、紅魔館にもその恩恵を全身で享受している者が一人。 門前の紅美鈴を眺め、青年は口を開いた。 「……これじゃ『幻想郷縁起』にも載るわけだ」 地面に座り込んで門柱に寄りかかるという、門番にあるまじき格好で、美鈴は眠っていた。 いくら暖かいとはいえ、冬の屋外で居眠りができるのはある種の才能ではないかと、青年は思った。 とにかく、このまま美鈴を寝かせておくのはいろいろと問題がある。青年は美鈴を起こすことにした。 「ただ起こしてもつまらんな。チョップでも喰らわすか」 青年は美鈴の前にしゃがみ込んで、挨拶をするかのように片手をあげた。 それを振り下ろそうとして、ピタリと静止する。 手を止めた青年の視線の先では、眠ったままの美鈴が幸せそうな笑みを浮かべていた。遊び疲れた子犬を思わせる寝顔だ。 青年は黙って手を引っ込めると、着ていたコートを脱ぎ、そっと美鈴の肩に掛けた。 「まったく、どんな夢を見てるのやら」 季節は冬。虫も鳥も姿を見せず、紅魔館の周囲で様相を変える景色は、空しか存在していなかった。 ただぼうっと、青年は流れる雲を眺め続けていた。 * * * しばしの時間が流れ、美鈴はパチリと目を開けた。自分が眠ってしまっていたことを悟り、慌てて周囲を見回す。 「やっとお目覚めか。残念ながら、メイド長も黒白も来てないぞ」 「そっか、よかったぁ……て、あれ? いつの間に?」 安堵の息を吐いて、ようやく美鈴は隣に座り込んでいる青年の姿に気づいた。 青年は自分の口元を指差す。 「お前さんがヨダレ垂らして寝てる間に、だ。ホレ、口のここんとこに跡が……」 「え!?」 手の甲で口元をゴシゴシとこする美鈴に、青年は冷静に言った。 「嘘だ」 この手の嘘に引っかかるのは何度目だろうか。美鈴はガクリと肩を落とす。 これが醍醐味だと言わんばかりに青年は笑った。 「あんまり起きないもんだから、額に『中』って焼き印を押してやろうかと思ったぞ」 「焼き印!? せめて落書きにして下さいよ! 落ちないじゃないですか!」 落ちないのが問題なのか、と青年は心の中で突っ込む。 ふと、美鈴は気づいた。自分の体にコートが掛けられていること、それに青年がしばらく自分の傍にいてくれたことに。 「コート、掛けてくれたんですか? それに、もしかして私の代わりに見張りを……?」 「まさか。お前さんの寝顔があんまりにも面白いんで、眺めてただけだ。 コートの方はパンツ丸出しでみっともなかったから隠してやった」 「え!? ……て、もう引っかかりませんからね」 ち、とわざとらしく舌打ちをして、青年は楽しそうに口元を歪める。 口ではああ言っているが、本心では自分のことを心配してくれたのだろうと想像し、美鈴は嬉しそうにコートを胸元に引き寄せた。 「何、嬉しそうにしてるんだよ。寝てるときもそんな顔してたな。いい夢は見られたか?」 仕事中に夢なんか見てるんじゃない、という皮肉のつもりで青年は言ったが、美鈴は気づかなかった。 起きた瞬間には忘却の彼方だったが、鮮明に呼び起こされる夢の記憶。 眠っていたときの幸せな気分を思い出し、同じように美鈴は笑った。 「ええ。見ましたよ、いい夢。それも、正夢でした」 「正夢? さっきの今で見た夢なのにか?」 嬉しさをこらえきれない表情で、美鈴は頷く。そして、言った。 「はい。好きな人が会いに来てくれる夢、です」 「好きな人って、誰だよ」 「……えへへ」 美鈴は答えず、青年を見て眼を細めると、頬を赤らめて照れ臭そうに笑うだけだった。 ドクンと心臓がひときわ大きく弾み、血液が顔面に集中する。 慌てて顔を背けると、反応に困った青年は常となっている減らず口をたたいた。 「へ。趣味の悪い女だ」 「そうですよ? 滅多にいないんですから、大事にして下さいね」 「……ま、俺なりにな」 ほんの少しだけ、青年の口の端が緩む。 ふてくされたような、愛想のない横顔。青年が照れたときにだけ見せるこの表情が、美鈴はとても好きだった。 * * * 一陣の風が吹き、青年の顔の火照りを吹き飛ばしていく。 顔の赤みは取れたものの、風で体温を奪われ、青年は自らの肩を両腕で抱いた。 「冷え込んできたな。起きたんなら、そろそろコート返してくれ」 「あ、そうですね」 体に掛かっているコートを取り払おうとして、美鈴は手を止めた。 コートから間接的に感じる彼の温もり、彼の匂い。この素直でない男がコートのように包んでくれるのはいつのことだろうか。 そう思うと、急にコートを手放すのが名残惜しく感じられた。 「あの、もうちょっとだけ、貸しておいてもらえません?」 「寒いんだよ」 「じゃあ、こうしましょう」 スススと青年に近づき、美鈴は自分と相手の肩を寄せ合わせた。そして、二人一緒にコートにくるまった。 さほど大きいコートではないため、身を縮こまらせて密着しないと二人同時に収まることはできない。 「これなら二人とも暖かいですよね?」 「……誰か来たら、すぐに追い出すからな」 つまりは、誰か来ない限りはこのままでいい、と言うことである。 ここは紅魔館、悪魔の棲む館。そうそう人通りがあろうはずもなかった。 「えへへ、暖かいですねぇ。あれ、何だか顔が赤くないですか?」 「お前さんにコートを取られてたから、風邪引いたんだろ」 「それは大変。もっと暖かくしないと」 そう言って、美鈴は負ぶさるように青年の背中にのしかかり、首から前に両腕を回した。 背中から伝わる体温と、柔らかな感触を感じながら、青年は言った。 「重てえ」 「愛の重みってヤツです」 笑いながら、美鈴は失礼な男の首を甘く絞めた。 * * * 美鈴を背負ったまま、青年は口を開いた。 「それにしても中国よ。この冬の最中にそんな軽装で寒くないのか?」 「そりゃ、寒いですよ。ある程度は『気』でどうにかなりますけど。あと中国ってゆーな」 「寒けりゃ上に何か着ろよ。見てるこっちまで寒くなる」 「厚着したり丈の長い服を着たりすると動きを妨げますからねぇ。 ……実を言うと、いつもの魔法使いとの戦いで破れちゃって、着られたものじゃないんですよ」 それでも少しくらいは寒さをしのげるだろうが、そんなボロボロの身なりで門前に立っていたら、美鈴の前に小銭が飛んでくるかもしれない。 なるほどと青年は頷いた。 「なら、新しいのを買えよ」 「お金、無いんですよ」 「仕方ない、一着くらいなら俺が買ってやるよ。また、今日みたいな真似をさせられちゃ堪らん」 青年がそう言うと、美鈴はポンと両手を合わせた。 そして、誕生日には何が欲しいかと親に尋ねられた子供のように、キラキラと目を輝かせる。 「え! それってもしかして、プレゼントですか!?」 「プレゼントじゃない。施しだ」 いつものように青年は悪態をつくが、喜びの詰まった美鈴の耳に届くことはなかった。 「うわぁ、初めてのプレゼントだぁ。嬉しいなぁ……。 じゃあ今度お休みをいただいたら、一緒に選びに行きましょうね」 「俺が適当に見繕ってくるんじゃイカンのか?」 「だってセンスが……」 「……ヒデぇ言い草だ」 珍しく、青年の方がうなだれた。よほど精神的な痛手を受けたのか、自分の服装を見て何やらブツブツと呟いている。 美鈴は顔の横で両の拳を握り、その手を力強く下に引いて、気合い満々という構えを見せた。 「初めてのプレゼントに、初めてのデートかあ。これは気合いを入れてかからないと! 最初にお揃いのコートを買って、それを着て街を巡って、途中で甘い物なんか食べて、それから……えへへへ」 「コートを買いに行くだけのはずだったような気がするんだが……ま、好きにしな」 軽く肩をすくめ、青年は美鈴の腕からスルリと抜け出して立ち上がった。 そして、美鈴に背を向けたまま歩き出す。 「じゃあな。居眠りしすぎて風邪引くんじゃないぞ」 「そ、そこまで間抜けじゃないですよ!」 「どうだか。お前さんの間抜けさは筋金入りだからな。ま、せいぜい暖かくするこった」 振り向かずに手を振りながら去っていく青年を、美鈴は舌を出して見送った。 青年の姿が見えなくなったところで、気づく。美鈴の肩には、まだ少し大きめのコートが掛かったままだった。 コートを体に引き寄せて、美鈴は顔を綻びさせた。 「……どっちが間抜けなんですか」 ぶっきらぼうで、素直でなくて、自分をからかってばかりだけど、時折優しさを見せてくれる、彼。 どうせなら普通に優しい人の方がいいに決まっているのに、どうしようもなく彼が好きな私は、やっぱり間抜けなのかも知れない。 なら、間抜けでもいいや。でも、少し悔しいから今度のデートでは彼に仕返ししてやろう。 そう考える美鈴の耳に、遠くから大きなクシャミの音が届いた。 新ろだ287 ─────────────────────────────────────────────────────────── 紅魔館の門を守護する番人、紅美鈴。幻想郷におけるスペルカードルールに乗っ取った弾幕 ごっこは苦手だが、こと生身における戦闘では高い実力を持ち、かつ自身の能力である気を使 う程度の能力で無類の強さを誇る。 彼女はいつも門前に立つ。紅魔館に侵入しようと考えない限り、世間話程度なら付き合って くれる気さくな妖怪だ。愚痴なども零すが、それを聞くのも一つの話題。 人里の人間は紅魔館の面々には良い印象を抱いていない。当たり前だ、ここに住む者はメイ ド長を除き全て人間ではない。人間である十六夜咲夜も、およそ常人とは言いがたい能力を持 っている為に中々受け入れられない。 そんな中、美鈴だけは例外だった。礼儀正しく、こちらから危害を加えない限りは危険度の 少ない妖怪。幻想郷縁起にもそう記されている。美鈴がたまの休暇で人里にやってきては、彼 女を慕う子供達が集まる。無論、里の者全員に受け入れられているわけではない。 話が逸れた。 紅魔館の門番として、日々立ち続け黒白こと霧雨魔理沙がやってきてはマスタースパークで 吹き飛び、その失敗を咲夜に責められる。いつもの日常だ。マスタースパークは痛いし、咲夜 のナイフもかなり痛い。それでも慣れると、あぁ今日もいつも通りだなと達観できる。 しかし、数週間前から門に立つ美鈴に見慣れぬ"モノ"が付属することとなった。それは美鈴 はおろか、咲夜にパチュリー、小悪魔、レミリア、さらにはフランドールすらも手玉に取る最 強の存在。恐らく、紅魔館内部で最強といっても過言ではない存在だ。 そして今日も、美鈴はその最強の存在を"背中に乗せて"門に立つ。数週間前から増えた、美 鈴のもう一つの仕事。 それは―――――――― 「ふぇ、ふぁぁぁぁぁんっ!」 「あぁはいはい、お腹空いたのね。すぐ御飯あげるからねー」 ○○と言う名の、赤ん坊のお守りである。泣き声をあげる○○をおんぶから抱っこに変え、 美鈴は仲間に少しだけ門前に立つよう頼み、屋敷の中へと入る。その間、なんとか泣き止んで もらおうとあやすのだが、やはり相手は可愛い傍若無人の赤ん坊。欲求を抑えるという考えを もてない以上、早く御飯を……もっと直接的に言うのなら乳を寄越せと言わんばかりに泣く。 「うぅ、子育てって大変だ」 これをやっている人間の里の母親達は偉大だと美鈴は思う。母乳は出ないんだけどなぁ、と チャイナ服の胸の部分をはだけ、○○に吸わせる。パチュリーにもらった育児の為の本(何故 そんなものがあるのかは謎だったが)には、赤ん坊は人の体温を感じることで安心すると書い てあったからだ。食堂につくまでの間、これでなんとか気を紛らわすしかない。 もう数週間もやっていることだ、慣れはするが疲れは感じる。しかし、美鈴は決して子育て が嫌になってはいない。 「ふふ、必死になってる。可愛いなぁ、赤ちゃん」 目を細めて自分の胸に吸い付く○○を見る。その顔は、どう見ても母親のそれ。 さて、何故この○○という赤ん坊が紅魔館に来ることになったのかの経緯を説明しよう。 それは美鈴が非番の日のこと。紅魔館の前にある湖で釣りでも楽しもうと用具一式をもって 湖へと行った美鈴だが、何やら騒々しい。何かの泣き声と怒る声、そしてそれを宥めるかのよ うな声が聞こえてきた。 「チルノに、大妖精かな。おーい、何やってるのー?」 見覚えのある色が二つ、湖近くの茂みであーだこーだと言い合っている。そこに近づいてみ ればチルノと大妖精、そして極めつけが籠に入れられた人間の赤ん坊。 「あ、門番さん」 「中国!」 「おはよう、大妖精。チルノ、中国じゃなくて美鈴ね? で……この子は?」 「その……私達がいた時には既に。それと紙が一緒にあったので呼んだんですけど」 はい、と手渡される。ある程度予想はしつつも、美鈴は紙を読む。大方の予想通り、貴方を 育てる余裕がない、本当にごめんなさいといった文章が綴られている。 「捨て子、みたいね」 「……可哀想です」 妖精や妖怪とはいえ、感情は持ち合わせる。相手が人間の赤子とはいえ、例外はない。それ は彼女らが妖怪や妖精の中で少し変り種だから、という事だからかもしれないが。 「大ちゃん、中国。この子泣き止まないんだけど」 「おぎゃああああああああああ!」 「うるさいー!」 直感的に不安を感じ取っているのだろう、赤ん坊は泣き続ける。チルノにそれを分かれと言 っても難しいだろう。見ていられず、美鈴は籠から赤ん坊を抱き上げる。彼女にも子守の経験 はないが、なんとかならないかと考えた上での行動だった。 「よしよし、怖くないからね。良い子だから泣き止んで」 「ふぁ……あぅ」 美鈴があやすうちに、赤ん坊は少しずつ泣き止む。そしてきょとんとした目で、美鈴をじー っと見つめている。 (なんか可愛い) その顔に美鈴は愛しさを感じる。赤ん坊が泣き止むと大妖精は安堵し、チルノは突然泣き止 んだことに首を傾げる。そのまま美鈴は赤ん坊をあやし続けると、不意に楽しそうな声。美鈴 の腕の中の子は、少しでも力を入れて握ってしまえば折れそうな手を、美鈴へと伸ばしてきゃ っきゃっと笑っている。 「あ、笑った」 「現金な奴ね。中国に抱かれて笑うなんて」 そう言うチルノだが、笑っている赤ん坊の顔を見てどことなく楽しそうだ。大妖精も母性本 能を刺激されたか、頭を撫でている。 「でも、どうしましょう。この子……」 「……とりあえず、私が連れていく。お嬢様になんとか頼み込んで、少しだけでも置いてもら えるようにするわ」 難しいことだが、こんな無垢な赤ん坊を死なせるのは非常に心苦しい。心配そうな大妖精に 大丈夫と言い残し、美鈴は紅魔館へと連れ帰る。 結果だけを言うのなら、この赤ん坊――美鈴が○○と名づけた――は紅魔館にいることを許 された。最大の理由は、この○○がレミリア達のことを恐れなかったから。赤ん坊は直感的に 恐怖を悟る。ましてや、レミリアやフランドールは吸血鬼。ただでさえ弱い赤ん坊にとって、 彼女達の存在は近くにいるだけでも恐怖だというのに、この○○は怖がるどころか楽しそうに 笑ったのだ。 それがレミリアに気に入られたのだ。 そして話は冒頭へと戻る。 「あら、美鈴」 「咲夜さん、すいませんけどミルクお願いできますか? ○○がお腹空かせたみたいで」 「ふふ、えぇ。少し待っててもらえるかしら」 そう言う次の瞬間には、既に咲夜はミルクが入った哺乳瓶を片手に佇んでいる。時間を操る 程度の能力を持つ彼女だからこそ、出来る芸当だ。 美鈴から○○を受け取り、ミルクを飲ませる。小さな手で健気に哺乳瓶を掴み、ミルクを飲 み干してゆく姿を美鈴と咲夜は微笑ましそうに見つめる。 「やっぱり可愛いわね」 「はい。今じゃ紅魔館のアイドルですね」 「そうねー、お嬢様や妹様もご執心だし。パチュリー様に小悪魔も子守してる最中は楽しそう だもの」 「でも、○○のお母さんは私ですからねっ?」 「そんなむきにならなくても。○○が一番懐いてるのは貴方なのは分かってるでしょうに」 苦笑する咲夜。ミルクを飲み終わってげっぷを出させた後、○○を美鈴へと返す。お腹いっ ぱいになって眠くなったのか、美鈴に抱かれる○○は目をとろんとさせている。それがまた彼 女らの母性本能をくすぐり、顔が緩む。 「めーりーん」 「あ、妹様。お嬢様も」 噂をすれば影、フランドールとレミリアが食堂に姿を現す。本来吸血鬼である彼女らは夜行 性なのだが、こうしてふらっと昼に起きてくることも少なくはない。 「○○は?」 「ミルクを飲んで、おねむみたいです」 レミリアが美鈴の腕に抱かれ眠そうにしている○○を見て、頬を緩ませる。ふわりと少し浮 遊し、○○の頭をそっと撫でる。数週間、長い人生でたったの数週間過ごしただけだというの に、レミリアの中には○○を慈しむ心が生まれていた。 今は赤ん坊でも、時間が過ぎていけば○○は成長し、そして死んでいく。それもレミリアや フランドール、美鈴よりも先に。咲夜は人間である以上、○○より先に死んでしまうだろう。 それでも、今この瞬間はレミリアにとって何よりも何物にも変えがたい。 「ふふ、可愛いわね」 「○○おねむかー」 残念そうにフランドールはすぐにでも眠りそうな○○を見る。一緒に遊ぼうと考えていたか ら少々残念なのだろう。遊ぶといっても、無論弾幕ごっこでは決してない。紅魔館の中を歩い て色々なものを○○に見せ、そして笑う○○が見れれば良かった。 「ぁぅ……」 ゆっくりと○○の瞼が閉じていく。その瞳には、優しそうに笑う美鈴や咲夜、レミリア、フ ランドールの顔が写る。暖かさを感じながら、○○は眠りにつく。 「お休み、○○。お母さんがずっと一緒だからね」 紅魔館に増えた新たな住人、○○。彼には優しい母親と、自分を見守る五人の姉がいる。そ んな彼に幸あれ。 ---------以下、小ネタ----------- 「あぶ……ぁぅぁ」 「あれ、○○?」 「ぅーぉぅ……」 「な、何か言おうとしてる!?」 「お、お嬢様ぁぁぁぁぁ、妹様ぁぁぁぁぁ、パチュリー様ぁぁぁぁぁ、こあくまぁぁぁぁ!」 「何よ咲夜、そんな大声出して」 「ま、○○が喋ろうとしてます!」 『なんですって!?』 「ぅー……ぉぅ」 「ほ、本当だわ」 「な、何を言いたいんでしょう」 「こういう時の相場はママに決まってますよ!」 「……そうかなぁ? なんか別のこと言おうとしてるような」 「頑張って、○○。お母さん見てるからね?」 「……ぅーぉく」 「ん?」 「ちゅーごく」 『…………』 新ろだ297 ─────────────────────────────────────────────────────────── (今年は逆チョコ・・・ねぇ) 紅魔館の門の前でおれは考え込んでいた。 「どうしたんですか?○○さん」 「え?…あぁ、ちょっと考え事をな」 隣に座っている門番の少女に話しかけられ、おれはドキッとした。 …この娘はチョコレートは好きなのだろうか? 「そういえば、もうすぐバレンタインデーですね」 「っ!?」 びっくりした…。心が読まれたのかと思った。 「といっても、私はお菓子を渡す相手なんていないんですけどね。たはは・・・」 頭を掻くしぐさをする。か、かわいい・・・。 「あ、でも今年は逆チョコって言ってさ、男性から女性にチョコレートをあげるってのがある、らしいよ」 「へぇ~そうなんですか。じゃあ○○さんは誰にあげるんですか?」 自分がもらえるとは考えられないんだろうか…。結構長い間一緒に門番の仕事してるのにさ。 「美鈴はチョコレートとかって好きか?」 「チョコレートですか?えぇ、大好きですよ。でもどうしてそんなこと聞くんですか?」 まだ気付かんか…。おれは誰よりも美鈴に渡したいと思っているのに。彼女は気付いてくれない。かくなる上は、 「でも、今年は男性から渡すんですか…。じゃあこんなもの持ってきた意味、なかったですね」 「え?」 美鈴の手には赤くラッピングされた小さな箱が。おそらくは、チョコレート。 「それ…おれに?」 「はい。少し早いんですけどね。○○さんが何ていうか気になって…できるだけ早く渡したかったんです」 「そうか。でもさっき、渡す相手がいないって」 「○○さんがどんな反応をするかと思って、無反応だった時ちょっとがっかりしましたよ。『俺がいるだろ』っとか言ってほしかったですよ」 「あ…ごめん」 言おうとは思った。でもさすがに自意識過剰ではないかと思った。きっとおれなんか眼中にないんだと。 「といっても、今年は逆チョコなんですよね。はぁ、わたしついてないなぁ」 「…もらうよ」 「え?」 「逆チョコなんてお菓子メーカーの陰謀だろうし、みんながみんなそうってわけじゃない。それに、美鈴がせっかく用意してくれたものをおれが貰わないわけないだろう」 「じゃ…じゃあ」 「あぁ、とってもうれしいよ。ホワイトデー、楽しみにしててくれ」 「あ、はい!」 彼女からもらった形の崩れた手作りチョコは、涙が出るほどおいしかった。 新ろだ306 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「明日だな…」 おれは物思いにふけっていた。 明日は野郎にとってはうれし恥ずかしホワイトデー。先月美鈴にチョコレートをもらったおれは必然的にお返しを渡さなきゃいけないわけだが…。 「どうしたものか」 とりあえず何がいいか調べるべきだよな。 「美鈴に、お返し?」 「そうそう、ここって図書館だろ?そういう類の本もあったりしない、かなーって」 とりあえず喘息持ちの魔法少女に聞いてみることにした。ちなみにおれは美鈴と同じ紅魔館の門番の仕事をしているから紅魔館に入れるのは別に珍しいことじゃあない。 「さぁ、どうかしら。自分で探せば」 ひでぇ。まぁ仕方ないか。とりあえず近場にある本を適当に。 「ちなみに、私の魔導書に触ったら燃やすから」 「理不尽っ!」 家臣に対しても容赦なしか。 他を当ろう。 「ホワイトデーですか?」 「そうそう、なんかいい感じのネタないか?」 天狗の新聞記者に聞いてみた。紅魔館に取材に来ていたのをたまたま捕まえたのだ。 「無い…ことはないですが、どうしてですか?」 他人にホイホイ話すようなことでもないよな…。 「はは、いや、ちょっとな」 「まぁ別にいいですけど…あ、今から行く取材に協力してくれたら教えてあげますよ」 今日中に何とかしたいんだからあんまり時間ないんだけどな。 「どんな取材?」 「『吸血鬼の怒らせ方』っていうタイトルの記事で、いまからレミリアさんとフランドールさんにいろんなことを試しに行くんですよ」 「なんつー自殺行為だ…」 取材でも何でもねーじゃねぇか。誰が協力するんだよ。 他を当ろう。 「ホワイトデーかい?」 「そうそう、あんたなら何か知ってるだろ?」 道具屋の店主に聞いてみた。魔法の森で数時間迷った挙句この店に着いたわけだが…。もう二度と来たくない。 「そういえば、そういった関係の本が確か最近入荷していたはずだったんだが…あ、あったあった」 霖之助は奥から薄い雑誌のようなものを取り出してきた。 そこには『簡単!男でもできる手作りスイーツ』と書かれている。 「って、じぶんで作るのか?」 「当たり前だろう。相手の娘からは手作りをもらったんだろう?じゃあこっちも手作りで返すのが礼儀だろう」 そんなもんかなぁ…。 「まぁいいや、じゃあこの本いただくよ。 「毎度あり」 「…作るか」 とりあえずチョコレートをもらったんだからチョコレートで返す…でいいのかな。 「それじゃ安直過ぎるか。…なになに、『ホワイトデーのお返しはこれ!手作りキャンディー。飴を舐めてる彼女を見てムラムラしちゃおう!』って、なんつー…」 でもまぁ材料はそろってるし簡単そうだ。これでいいか。 ―少年製作中― 「できた」 典型的な棒付きの飴を6本ほど。まぁ十分だろう。 明日に備えて今日は早く寝るとしよう。 翌日 「ひどいじゃないですか○○さん。昨日は仕事さぼったりして」 あぁ、そういえばそうだったな。 「ごめんごめん。ちょっと用事があってな」 お前のためにお菓子を作ってた、とは言えんわな。 「まぁいいです。今日も一日がんばりましょう」 「あ、ああ」 さてと、今おれは右手に美鈴に見えないように飴の入った小包を持っているわけだが。こういうのは渡すタイミングが肝心だよな。なるべく慎重に。 「あ、そういえば今日って何月何日でしたっけ?」 「え!?」 揺さぶりをかけてきた?いや美鈴に限ってまさかそんな…、純粋に聞いてきただけだよな。 「えっと、3がt」 ドカーーーーン! 唐突に轟音。 「わ、わぁ!」 「ひゃっ」 なんだなんだ?爆発音!?上から…。 「ごめんごめん、ちょっとお邪魔するぜ」 なんだ魔理沙か。驚かせやがって。ってかわざわざ紅魔館の壁をマスタースパークで破壊したのか?勘弁してくれよ。おれたちが怒られる。 「って危ない!」 「え?」 美鈴の上に瓦礫が!くそっ! 「避けろ!」 ギリギリのところで美鈴を押し倒す。危なかった…。 「痛たたた…すいません○○さん、私ボーッとしてて」 「ああ、おれもすまねぇ大丈夫か?」 「はい、平気です」 魔理沙の奴め、美鈴に何かあったらタダじゃおかねーぞ。でも、美鈴の上に乗っかれたのはちょっとうれしい…かな? 「…」 「…」 さて、会話が途切れた今がベストタイミングか?そうだ、今だ! 「あのさ、美鈴」 「はい?」 勇気を出せ、おれ!手に持つ小包を差し出せ! 「今日って、3月14日じゃん」 「あ、そうですね」 「これ・・受け取ってくれるか?」 「…なんですか、これ?」 よし渡せた。差し出された包みを開ける美鈴。どんな反応を…。 「わぁ・・・棒飴ですか?これ○○さんの手作りですか?」 「あぁ…今日ってホワイトデーだろ。ほら、バレンタインの時、おまえにお返しするって言ったじゃん。覚えてる?」 すると美鈴は顔を赤くした。 「あ、はい。覚えてます。そうか、今日はホワイトデー…。もしかして昨日休んだのって、これを作るために・・・」 「悪かったな。大変だっただろう」 「いえ、全然!…すっごく嬉しいです」 美鈴は目に少し涙を浮かべている。喜んでもらえておれもうれしい。 「せっかくです。仕事中ですけど、一緒に食べましょう」 「お、おお」 美鈴から1本差し出される。自分で作ったもんだけど・・・まぁいっか。 「いただきます」 一口食べてみる。うん、我ながらなかなかの出来だな。 すると隣で美鈴がくすくす笑っている。 「ん?」 「ふふ…その飴、さっき私が少しだけ舐めました」 「ゴフッ!!!ごほ・・・げほっ」 なん・・・だと?いやそんなまさか…。それがほんとなら間接キ…。 「あはは、冗談ですよ」 そ、そうかびっくりした。って冗談かよ。 「お、驚かせるなよ。まったく」 「ごめんなさい、怒っちゃいました?」 「おこってねーよ」 いや、ちょっと怒ってるかも。せっかく美鈴と間接…間接……。 「本当にごめんなさい。えっと、お詫びに私からもプレゼント、あげます。ちょっとこっち向いてください」 「ん?なんだy…」 次の瞬間、体全体に柔らかい感触が広がった。美鈴がおれの背中に手を回す。 美鈴は俺に抱きついてきた。 「な…なんななな…なにをおぅっ!?」 「ふふ、お詫びのしるしです」 すぐに美鈴は俺から離れた。 「今度は間接なんかじゃなく本当の、しましょうね」 美鈴は唇に人差し指を添えてほほ笑んだ。 その日の仕事は全く手に付かず、まともに美鈴の顔が見れなかった。 新ろだ371 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「こんにちわー!○○です!誰かいませんか!」 大きな紅い館の門前で男が張り叫んでいた。後ろには大量の樽やら俵やらが詰まれている荷車があった。 普段ここには門番の紅美鈴という女性が立っている。その美鈴に荷台を引き渡して代金を得る。彼は配達を生業とする人間であった。 が今日に限ってその美鈴はどこにもいない。何度かここへは配達しているが、こんな事は初めてであった。 門にも鍵がかかっている様で入る事も適わない。荷車を置いて帰るような無責任な事も出来ない。 もう一度叫んでみようかと彼が息を吸い込んだ時であろうか。 「聞こえてますからそれ以上叫ばなくて良いですよ」 そう言い、美鈴がこちらへと降りてきた。 「遅れてごめんなさいね、館の中で用事をしてたもので」 「いえそんなに長い時間待たされた訳でも無いので気にはしてませんよ」 「それじゃ注文された分が揃っているか、確認の方お願いします」 そう言い彼はポケットの中から注文表を彼女に手渡した。 「………はい、全部揃ってます。いつもながらありがとうございます」 確認を済ませると表に判子を押し、彼に代金と一緒に渡した。 「毎度どうも。次も御ひいきにして下さいね。」 挨拶をし、荷車を引いて帰路に就こうとした時 「あ、○○さん。待たしてしまったお詫びにお茶でも飲んでいきませんか?」 「それともこの後も仕事の用事があったりしますか?」 「この後は…今日はこの配達だけで終わりですね」 「だったら是非!美味しいお茶の葉があるんですよ!」 「な、ならご馳走になろうかな」 彼女の勢いに押されてではあるが彼はご馳走に預かる事になった。 門から入りしばらくの間広大な庭を歩いていたのだが、次第に館の方から逸れていく事に彼は気づいた。 「あれ?館の中に美鈴さんの部屋があるんじゃないんですか?」 「実は庭の方に私の家があるんです。…決して仲間外れにされてる訳ではありません」 「そうなんですか、てっきり中で生活してるものだと思ってましたよ」 あれこれとやり取りをしていると、どうやら彼女の家に着いた。 あまり大きくは無いが、大人の女性が住むには十分なくらいの大きさであった。 その辺に荷車を置かせてもらうと、家の中へと通された。 「お邪魔しますよ…。」 家の中は生活に必要な物が大体揃っていた。そして奥には何故か銅鑼が一つ置いてあった。 「これは…銅鑼?何でこんな物が家の中に?」 「ちょっとお休みを貰った時に村の骨董品屋で見つけたんです。懐かしいと感じたらいつの間にか買ってて」 「分かります、買うと思ったらもう買ってなきゃいけないんですよね」 「買った!なら使って良いんですよね。そこに座ってくつろいでいて下さい」 クスクスと笑いながら、彼女は台所へと入っていった。 少し経つと盆に急須と湯呑みを二つ乗せて彼女が台所から戻ってきた。 「お持たせしました。今日は○○さん待たせっぱなしですね」 「自分は待つのも待たされるのも好きな性分なんで、気にしてないですよ」 湯呑みを二人分机の上に置き、急須からお茶を注ぐ。 「どうぞ、入れたてなんできっと美味しいはずですよ」 口に入れると普段飲むものとは全く違う味だった。 「これは…?緑茶や麦茶じゃないみたいですけど」 「これ私のいた国のお茶なんですよ。烏龍茶って言うんです。」 「確かに美味しいですね。もう一杯貰えますか?」 「はい、どうぞ。まだ沢山入っていますから、遠慮せず言って下さいね」 楽しい時間はあっという間に過ぎていく、気づけばもう夕暮れ時になっていた。 夜になれば妖怪の時間、人間である○○が無事に帰れる保障など無くなってしまう。 「とと、もう日が暮れてきたのか…そろそろ帰る時間だな」 「えっ、もうそんなに時間が経ったんですか?」 窓から差し込む光は橙色。確かに夕暮れの証拠であった。 「残念です…。もう少し○○さんと話していたかったんですが…」 「なら、今度の木曜日にまた来て良いですか?仕事抜きで」 「でしたら、その時は…あの…何ていうか」 もじもじと美鈴は口ごもり、緊張さえも見て取れる。 「…その、あの、その時は…泊まっていきませんか!」 緊張しすぎて声の調整が出来なかったのか、かなり大きく家の中に響いてしまった。 「……ならお言葉に甘えて次は泊まらせてもらおうかな」 その返事を聞いて、彼女の顔には喜びの色が広がっていった。 「ほ、本当ですか!?」 「嘘を言ってどうするんですか。それじゃ自分はこの辺で」 そう言うと彼は家を出て荷車の元へと向かった。 門前まで美鈴に送ってもらい、彼は村へと帰っていった。 彼がやってくるその日が待ち遠しくて仕方無い。 別れた傍からもう彼女はそんな事を考えていた。 新ろだ390 ───────────────────────────────────────────────────────────